第2話:隣の転校生


所変わって、次の朝のHR。


「はーい!! ホームルームやるよ~!」


教室のドアを勢い良くスライドさせて、テンション高めに教室に入ってきたのは俺のクラスの担任。


背が低く、童顔で天然だと有名で、このクラスのマスコットキャラ的な志乃(シノ)先生だ。


補足だが、志乃先生曰く、この教室の入り方は一教師のポリシーらしい。


「えーと。今日は、皆の新しいお友達が来ました! もちろん。友達じゃねーよ。なんて言う人はいないよね?」


志乃先生がコトリと首を傾げると、ほとんどの生徒がコクコクと頷いた後、ざわつき出した。


「カッコイイのかな~?」


「えーそしたら、友達になりたい!!」


可愛い子達――――と言っても、男子なんだけどワクワクしたように口早に話している。


ふむふむ。


それは、カッコ良かったら憧れるもんね。


こんな人になりたい!


見たいな感じでね。


そしたら、お友達になりたいですね。


そう思いながらも窓際の俺は、窓越しに外を見た。


今日も良い天気で、青空が見える。


しかも、転校生が来るのは、すでに知っていたから興味なし。


だって、今日から俺、転校生と同室になるんだ。


早朝聞いたんだけどね、志乃先生に。


そう言う事は、早く言ってください。


部屋の中が、見られたもんじゃないです。


はー。授業終ったら、バビューンと帰るぞ。と早速決めた。


ふと転校生が来るのはわかっていたけど、顔を見ていないことに気づく。


だから、まだ教卓の方にいるであろう彼の人物を見て見ようとしたが……。


「うわ!」


目の前に、壁が出来ていた。


壁――――じゃなくて、実際は人だったけどな。


髪の毛はボサボサ、前髪で顔は見えないけど、かろうじて漫画で出てきそうな古風な黒淵メガネをかけているとわかる人物が俺の前に立っていた。


うわあ、オタクと平凡が向き合ってる~。なんて、このクラスの可愛い男の子が悲鳴を上げる。


失礼な、平凡は……まあしょうがないが、目の前の人の容姿だけでオタクと判断するのは良くない。


「あ、の……」


オタクって、アニメとか見てはあはあするんでしょ? そんな声も聞こえて来た。


違う。断じて違う。


辞書では、おたく、オタク漢字で御宅は、あるものに熱中している人を指す言葉。


「……あの、その。小鳥遊君?」


アニメが好きイコールオタクではない。


違うぞと否定したい所だが、ここはもめない事に越した事はない。


その前に、一瞬、生徒会長俺様×変装美少年または平凡受けなる物が脳裏を過ぎった。


けど、ここは自分に言い聞かせておこう。


そんなに現実が、俺に味方してくれるわけでもなし、BL小説の中じゃないんだぜ。と。


「そうだ。平々凡々が、一番だと思うぞ。俺」


「あのー小鳥遊君?」


「あ……ごめん」


声が聞こえて、我に返って周りを見ると俺に白い目を向けているクラスメートが多数。


やばい。


一人になれたせいか、自分の世界に飛んでしまっていたようだ。


俺は、話し掛けてくれていたボサボサ君に微笑みながら話を促すように首を傾げる。


「俺、君の前の席兼同室者になった音無 鐘(オトナシ ショウ)です。よろしくお願いしますっ」


どもりながらだけど右手を差し出されて、俺は驚嘆しそうになった。


何とグローバルな挨拶だ。


右手を出して挨拶なんて、俺はもっぱら日本式なお辞儀です。


と思いながらも、その手を握った。

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