第79話 可愛い女の子 ※

「んっ……んむっ、んむっ…………」

「どうした……シュウ。今日は……んっ……随分……甘えん坊じゃないか……」


 日が沈んでから一人セイラの宿にやってきた俺は、彼女に膝枕されながら授乳プレイを楽しんでいた。


 服をはだけさせたセイラの大きな両乳を見上げながら、その先端に吸い付く。

 そんな彼女の手は、俺の下半身を握り上下していて、互いに声が漏れてしまう。


 だというのに、会話は今日のことでおっぱいだった――いや、いっぱいだった。


「ベルクハルトのあの技、なんなんだ?」

「<石葬オベリスク>か。私も聞いた話でしかないんだが、一種の呪いのようなものらしい」

「呪い……?」


 そのキーワードを聞いて、<完全解呪>のことを思い浮かべてしまう。

 だが、戦闘に使えているということは、解呪してはいけないものなのだろう。


「フェルディ・マイアという研究者を知っているか?」

「……名前だけは」


 再び聞いた名前。

 彼女は、ジジイたちと共に世界を巡ったという人物。

 以前も少しだけ彼女の話を聞いたが、今度はベルクハルトの呪いに関して名前が上がるとは。


「団長になる少し前の話だそうだ。フェルディ殿が、なにか実験をしたらしく、それ以来団長殿は特別な力が使えるようになったとか」

「特別な力……か」

「あの仕組みは土魔法のようにも思えるが、厳密には違うらしい。巨大な石剣も、あれ自体は団長殿の腕の一部なんだそうだ」

「え……ってことは、石が纏わりついたんじゃなくて、ベルクハルトの腕が石に変化したってことなのか?」

「本人が言うにはそうらしいが……んっ、そんなに強く吸うな……ゆえに呪いみたいなものだろう?」

「確かに……体自体が変化するなんて……すごい魔法だけど……言われれば呪いみたいなものだな」


 この世界には、魔法や魔技、スキルや呪い、錬金術の他にも、謎の力があるようだ。

 ただ、そんなおかしな体になってしまっても、ベルクハルトは奥義として自分の技を高めたことには変わりない。


「フェルディ殿は変わり者として有名だ。教会学校にいれば顔を合わせる機会があると思うが、そうなったら実際に話してみるといい」

「ああ、そうだな……」


 少しくらいはジジイたちの過去について聞けるだろうか。

 村にいた頃は、ほとんど聞いてこなかったからな。逆にいえば、ジジイたちも俺の過去について一切聞いてこなかった。

 あいつらなりに気を遣ったんだと思うけどな。


「――んっ、セイラ……そろそろヤバいかも……」

「どうした。今日は少し早いな。模擬戦で疲れたか? ふふ……シュウが弱っている顔を見る機会は少ないからな……いいぞ、私の手で一度気持ちよくなってしまえ」


 セイラの手の動きが加速していく。

 ゆえに俺は下半身に力が入り、強く快楽を感じていく。


 セイラの甘い匂いのする乳首をちゅうちゅうと吸いながら俺は果てた。

 彼女の手には、べっとりと白濁液がこびりつくと、それを顔に近づけてぺろりと舐める。


「ふふ……今日は少し濃いな」

「寮には同居人がいるからな。一人でする機会がなくてな」

「溜まっていた、というわけか」

「まあ」


 ニヤリと笑ったセイラ。

 すると今度は膝枕状態を解き、俺の上へと馬乗りになる。

 だが、その馬乗りは逆の方を向いていた。


「生徒相手では、少し物足りなかった。だから今日の私は体力が有り余っているぞ」

「それはそれは、良きことで……」


 セイラの綺麗なお尻が俺の顔の目の前に降りてくる。

 そして、彼女は俺の下半身へと顔をうずめた。


 だから俺は、彼女の期待に応えるように、二つの穴を同時に気持ちよくしてあげることにした。



 ◇◇◇



「――カナン、いるか?」

「こんな夜に誰……って、お父さん!? なんでこの寮に!」


 シュウがセイラの宿に向かっていたころ、寮の部屋にやってきたのはカナンの父、ベルクハルトだった。


「な、なんの用なのさっ。ボクは学校でちゃんとやってるのに!」

「カナン、聞いたぞ。お前の同居人は私を負かしたというシュウという人物だそうじゃないか」

「なっ……」


 その言葉にカナンは慌てた。

 父親にはこのことを報告していなかったのだ。


「シュ、シュウくんならなんだって言うのさっ。ボクが誰と一緒の部屋でも関係ないじゃん!」

「確かに、カナンがその姿で過ごすよう提案したのは私だ。しかし男と同じ部屋で過ごすことまでは許した覚えはない」

「そ、そんなの知らないっ! 学校生活のことに口出ししないでよ。これ以上言うならお母さんに言いつけるから!」

「お母さんは関係ないだろう。それに、カレンだって知ったら心配するかもしれない」

「お姉ちゃんは面白がるだけだと思うけど……」


 ベルクハルトが心配するもカナンには通じない。

 だが、父親として見過ごすわけにはいかなかった。


「とにかくだ。このまま同じ部屋に住ませるわけにはいかない」

「嫌だっ! それにシュウくんはボクが女の子だって気づいてないし、これからもボクが気をつければ大丈夫だもん!」

「カナン……」

「と、とにかく! 次勝手にここに来たら、もうお父さんと口聞かないからっ! 絶対だよ!」

「カ、カナン……」


 バタンと大きな音を立て、カナンは部屋の扉を閉めた。

 ベルクハルトは娘のことが心配で来たのだが、思春期の子供は親に干渉されると反発するものだ。カナンはまさに反抗期の真っ最中だった。


「確かに男の子の格好をしてから、色恋沙汰に巻き込まれず学校にも集中できる……でも、セイラ様はずっとあの綺麗な女の子の姿で頑張ってきたんだよね……」


 カナンは教会学校に入る前、まだ幼いながらも美少女として男子に注目される存在だった。

 ベルクハルトは長年神殿騎士団の団長を務め、社交界でもカナンを連れ歩くことがあった。


 そのため、カナンはすぐに人気者になり、ベルクハルトを通じて求婚依頼も多数舞い込んだ。

 まだ小さな年齢で恋愛にも関心の薄いカナンは、次第にうんざりしていた。


 そんなとき、偶然社交界で出会ったのがセイラだった。


 ビュッフェスタイルで自分の皿を取りに行っていたとき、男子たちがこぞってカナンを囲み、皿を持つだのドリンクを持つだのと取り合いになった。


『わぁっ……!?』


 その渦中で、カナンは一人の男子に押されてしまい、皿ごと料理をこぼしそうになった。


『大丈夫か?』

『ひゃ、ひゃいっ!』


 自分の体を支え、宙に浮かんでいた皿を美しく掴んで手に収めたのは、当時まだ十代のセイラ・クローヴァーだった。


 社交界に興味はなかったセイラだが、この日はベルクハルトの誘いでたまたま参加していた。

 その凛々しい姿と所作に、カナンは心を奪われ、神殿騎士を目指すきっかけとなったのだった。


 だが、カナンにとって色恋は邪魔でしかなかった。

 そこで父ベルクハルトが提案したのが、男装だった。


 以来、カナンは髪を短くし、男用の修道服を着るようになり、一人称もボクに変えた。その結果、男子から声をかけられることはなくなり、思惑どおり男子として教会学校に通うことができた。


 このことは校長のアマンダも把握しており、できるだけ同じ部屋に男子が入らないよう手配していた。

 しかし今回編入してきたシュウは特別クラスの部屋の割り当ての都合で、カナンと同室にするしかなかったのだ。

 そこでカナンと相談したうえで、アマンダはシュウをカナンの部屋に入れる手配をしたのだった。


「別に、色恋に全く興味がないって言ったら嘘だけどさ……思った以上にシュウくんはかっこいいし、実力もあるし、はじめて来た日以来、ボクにも気遣ってくれてるし…………」


 ベルクハルトが出て行ったあと、一人でシュウの修道服を裁縫で直していたカナン。

 再び針と糸を手に取り、修道服の修復を続けた。


「シュウくんの汗の匂い……やっぱり男の子、なんだよね……」


 そして何を思ったのか、修道服をじーっと見つめたあと、顔をうずめたのだ。


「ボクを男の子として扱ってくれる、頼れる同居人……お父さんが勘ぐるようなことになんてなるわけないじゃんっ」


 そう言いながら、カナンは修道服に顔を押し付け続けた。





――――――


セイラとの営みはノクターン版で濃いめに書いています。

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