第8話 カラオケ2

二人がドリンクバーに行っていたその頃

朝倉と堂倉は...

「あの、堂倉くんいいですかあ?」

「いいよ。もう分かってる。告白するんでしょ。」

「へっ!?なんで私が堂倉くんと...」

「御託はいいから。僕には未来が見えてる。返事はノー。僕は、朝倉さんには興味が余りないかも。」

「...分かりましたあ。すみませんでした。」

「謝る必要はないよ。僕はなんとも思ってないから。」

「なんとも、ですかあ。」

朝倉の心はそのなんともという言葉にグサリと刺さった。

自分が彼を突き動かせない。

それが、彼女をどん底に突き落とす。

そして出恋たち二人が帰って来た。

「あれ、なんか少しどんよりしていませんか?」

「そんな事ないよ。僕がちょっと悪かったかな。」

軽率な堂倉の謝り、空気が和むこともなく。

「じゃあ、僕が次の曲を歌うよ!」

赤ノ原は空気をよくしようとテンションを上げて話した。

しかし、楽しい空気になる事なくカラオケ続いていく。

「私、次はこれ歌おうかな!」

表で会話をしている最中、頭の中では。

(...という事で振られたんですう。)

(そう、じゃあこれからちょっと気まずいかもね。)

(でも、まだ諦めたくないんです。)

(ん?僕も話題にはいっていいのかな?)

赤ノ原が頭の中の会話に入って来た。

(いいですよ。私が範囲と感情を上手くしてできるようになってきたんです。)

(朝倉さん、すごい進歩ね。)

しかし表では。

「堂倉くん、ジュース取ってきてあげるよ。3人で楽しんでて」

と赤ノ原が言って、

(3人かっこ堂倉くん以外。ハハ!)

カラオケボックスでは赤ノ原以外の3人だが、

頭の中の会話では堂倉以外の3人が会話している。

(なんか私の能力で遊んでいる人いるんですけど...)

(もう切ったらいいんじゃないの?)

(いや、一応最後まで聞いてもらいます。私は、より良い被験者を集めて、堂倉くんへの恋を成就させたいです。その為に二人共協力してください。)

(なるほどね!僕達の被験者把握する情報を利用して、自分の恋に利用するわけだ!)

(考えましたね。勿論私達は仲間が多い方が被験者を集めやすいしいいですけど。)

(あの、堂倉くんも誘うってのはどうでしょうか?)

(堂倉くんもかい?じゃあ、戻ってきたら僕が誘うよ!)

(ありがとうございます。)

「ガチャ」

丁度、赤ノ原が帰って来た。

「はい、堂倉くんジュースだ。」

「ありがとう。あと、堂倉でいい。」

「じゃあ堂くんだ。」

「うん。ちょっと嫌かな。」

「堂くんがいいな。」

「え?本気で?ちょっと待ってそれは読めないよ。赤ノ原くん」

「じゃあ堂くん」

「もう速攻デフォになるんですね。」

出恋がツッコんだ。

「堂くん、僕達の被験者の能力の研究を手伝ってほしい。」

「いいよ。でも、朝倉さんもいるんだろ?」

「それが、どうかしたのかな?」

「とぼけても無駄だよ。僕の頭の情報量は尋常じゃない。

未来が色んな可能性を見せて、君たちを知り尽くす事が出来るんだ。

君たちは僕らの顛末をどうにかして知ったんだね。」

(じゃあ心の声もですかあ?)

朝倉は話かけた。

「えっ?うわあ、それは読めなかったなあ。そういう能力か。」

「そうです。私は頭の中で会話できるんです。」

「なるほど、共有し放題なんだね。」

「はい、全部しってますよ。」

「ぜ、全部?」

そういうと堂倉が一気に青ざめる。

「ちょっと待ってくれ!な、なにも話していないかい?」

「はい。堂倉くんが一位でした。」

「い、一位!?」

「なにが、一位なんだい?」

赤ノ原が不思議そうに聞く。

「えっとお...」

「分かった!入るから、別にいいだろお!?それが一位だろうが別に!」

そしてカラオケは、堂倉がクラスの女子にちょっとバレてる背徳感で変なテンションになって盛り上げて終わった。


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イヴリンゴ禁果実験 @jyumaa

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