制御不能な世界で (カクヨム短歌賞10首連作部門)

涼月

制御不能な世界で

少しでも 綺麗に映る 鏡買う

私の眼球は ルッキズムの下僕しもべ



遠目でとくん すれ違えたら 爆演奏ばくえんそう

でも気づかれない 報われぬ心臓



自分らしく 賢くお洒落な キラキラ画面

汚部屋で眺める 私は異端者



その決断 私の意志か 受け売りか

曖昧で複雑な 『普通は』に躍る



色も波長 携帯の電磁波に 地の震え

絶え間ない刺激に 揺さぶられる私



縫いつけたい 言いたいことは 言えぬのに

皮肉否定ばかり 吐くこの口を



何を聞き 何を拒否きょひるか 選べぬ耳は

傷と罪悪感増やす 不完全フィルター



貴方と私 隔てるは薄皮一枚 流れくる熱に

溶かされ囚われ でも消えない痛み



午前一時 鼻腔びくう駆け抜けた 夏のに 

死にながら生きるのは めようと決めた



甘じょっぱい 芋がほろりと 舌包む

温かい記憶に 泣いて笑った





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制御不能な世界で (カクヨム短歌賞10首連作部門) 涼月 @piyotama

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