じめっとした不快な空気は「悪い物」を呼ぶ。でも、現代の文明の利器なら?

 音や空気、というものが強く体感される作品でした。

 ごうごう、という音がする。最初は電車の音、続いて空気清浄器の動く音。
 ぐっしょりと汗をかいてしまうような空気の中、けだるく過ごす男。

 そんな中で彼の日常にふと入り込んでくる「何か」の存在。

 本作は何と言っても、ラストの回収が面白かったです。
 この現実と夢が交錯するような、朦朧とした意識の中、ゆったりと侵食してくる怪異なもの。

 それらを全部打ち消すような「ごうごう」とする空気清浄器。

 やはり家電には思わぬ効果が、と喝采を挙げたくなるような感覚。基本的に「空気の悪いところ」には悪いものが憑きやすく、換気は大切、という話もあります。
 それを自動でやってくれる家電。それによって「怪異」にも効果があるかも、というのは現代ならではの感覚で面白かったです。

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