ナポレオンがナポレオンになる前の物語

 1793年、ナブリオーネ・ディ・ブオナパルテ――のちのナポレオンは、トゥーロン攻囲戦に参加する。

 これは彼が初めて名を上げた戦いです。

 この作品は、そのナブリオーネが負傷した砲兵隊長の後任となって、この戦いの指揮を執っていたカルト―将軍に面会することから物語が始まります。

 このカルト―将軍が実際はどういう人だったのかはわからないけど、この作品ではとても魅力的なキャラで、蟹の絵を描きながらナブリオーネと会話したりする、ちょっと変わった人として描かれています、

 二人の会話が面白くて、実際にこのような話がされていたらいいのにな、と思ってしまいました。

 ナブリオーネはカルト―将軍の作戦が不満で、違う策を提案するのですが、カルト―将軍はそれを無視してしまう……というのが史実みたいですが、この作品では少し違った展開になります。

 どうなっていくかは、語りすぎになってしまう気がするので、ご自身の目で確かめていただきたいです。

 また、この作品は作中に出てくる絵と物語がうまくリンクしていて、とても感心させられました。

 作中でベラスケスの絵画がいくつかでてきますが、その絵を知っていると、より楽しめると思います。
 知らなくても検索すれば出てくるので、絵を見ながら読むのをおすすめします。

 史実にオリジナルの要素をうまく加えて面白く仕上げていて、非常にクオリティが高い作品なので、是非読んでみてほしいです。

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