技術に国家に現実の視点をより近くに感じさせる人型戦闘機の戦闘場面。それぞれの人々の物語。それらの多彩な内容で読者を引き込みながらもその側には常に問いかけがあるように感じます。
人は常日頃から自分の恩恵の裏側を見ようとすることは少ないと思います。自分一人ではどうしようもないことが実は多いのも本当だと思います。だから頭では気づいているけれど、見えないふりをしている。
主人公のナギが抱くものもその中にあるのではないかと思います。
特に兵器を売ったお金で生活が成り立つ。そこに葛藤を抱くのは、人の命の重さを無視できないからだと思います。
そして自分は他の人達と同じで、戦う場の当事者ではない。
その当事者意識が物事のやや遠い場所にある視点は、私達に更なる問いかけを投げ掛けているようにも感じられます。
ただナギ自身は無関係ではいられず、むしろ急速に悪い立場に陥ってしまう。
ある種、彼自身が世界の業全てを身に負わされたスケープゴートのようにも見えます。
その彼が自分の置かれた立場から、どう歩み何を見いだしていくのか。
私もこの重いテーマをせめて自分なりに考えていきたいと思います。
もしかしたら、主人公のナギに似た罪悪感を心の隅にこっそり抱いていると言う方がおられたなら、ただ善悪では分けきれない深みのあるこの物語、読まれてみてはいかがでしょうか。