第8回 カニカニ怪人チョッキリン

〈コメント〉

　今回のお題は「遊園地・蟹・ツインテール」でした。取り組みやすい言葉ばかりですが、ジャンルとしてはバラバラなので、いい感じの三題噺だったと思います。

　「遊園地」はデートの定番なのでラブコメが書きやすそうですね。学園日常もののイベント回やミステリーの事件現場などかなり自由度が高いです。「蟹」はそのままの形で生き物かモンスターで出すのが使いやすそうです。やはり、あの大きなハサミを活かしたいところです。食べるなら、鍋やしゃぶしゃぶでしょうか。ここから甲殻類アレルギーに繋げていくのもありですね。「ツインテール」もラブコメに使いやすそうです。幼い・キュート・ぶりっこ・アイドルという属性との相性がいいと思います。ハーフツインにすると清純さが、ロールにするとお嬢様感が、おさげにすると真面目っぽさが増えますね。髪型は種類が多くて難しいです。

　今回は「ツインテールを蟹のハサミで切る」というイメージから出発しました。このイメージを出すために、「遊園地」→「ヒーローショー」→「蟹の怪人」とい連想を行いました。案出しの段階では、「蟹の床屋さん」というメルヘンなアイディアもあったのですが、「遊園地」が出しにくいのと、面白くなさそうだったのとで止めました。

　「蟹の怪人」だけでは面白くなかったので、「髪を切る」という行為の残酷さに焦点を絞り、猟奇的殺人犯の独白という形にしました。たぶん、映画「藁の楯」の影響が大きいと思います。語り手独自の理論展開という部分にこだわっています。

　「目の前にいる刑事に話している」という体で、口語体にし、呼びかけや質問を織り交ぜました。短文中心で軽薄さを出しつつも、改行を入れないことで重い空気感を残しました。