近況ノートC:未だに正体不明のもの
私、未だに分からないものが三つほどあります。
鏡・影・夢です。
この三つだけは未だに不思議で、正体が分からなくて怖いです。
三つとも大体の仕組みは知っているのです。
鏡は光を全て反射するもので、影は光が遮られた場所にできるもの、そして夢は脳が記憶を整理しているタイミングで見てしまうもの。
でも、論理的に理解できても経験として理解するのは難しくて。
特に影はどうしても、分からない。
影の説明って結局影が出来る型を経験として理解してないと分からなくなりませんか?それが異質で怖い。
この三つのものには共通点があります。それは自分の存在が危うくなることです。
鏡の中にもう一つ世界があるんじゃないか?もう一人の僕がいるんじゃないか?
もしかしたら私の本質は影のほうなんじゃないか?
夢と現実は世界が違うだけで、夢ももう一つの世界・もう一つの現実なんじゃないか?
三つともこんな風に思えてしまうから、きっと怖いんです。
幽霊はあまり怖くありません。それは別に自分が存在するのと幽霊が存在することに大きな関係がないから。
クローンは怖いです。ただ、筋が通っていて人工的なものなので全然マシです。
あの三つは理解できないのに当たり前のようにあるから怖いんです。
私は本当にいつも怯えています。
この夏が終われば柑月渚乃は消えてしまうのか、それとも永遠と不滅の状態でいられるのか。それが不安で不安で仕方ないのです。
きっとドッペルゲンガーに逢うことさえなければ、私はこの情報の海の中で17歳のまま永遠に生きられると思うのです。
ドッペルゲンガーに遭うことさえなければ。
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