病名「無意識脱力アンスータン症候群」についての論文

ミル

無意識脱力アンスータン症候群についての論文

 注意事項!

 こちらは全て架空の病名です。

もしあったらいいなと思い作ったただの『願望』です。

 論文故に長いですが最後までご付き合いお願いします。




 ※




 皆様初めまして、私は✕✕県にある創作架空医学研究所の研究員、松田一まつだはじめと申します。

今回は私が取り扱います、病名「無意識脱力アンスータン症候群」の研究結果の発表をいたします。



1.初めに


 近年10代後半から30代前半の若い年層にかけて「突然、学校や職場に行けなくなる」「趣味もスマートフォンにも触れず、ただ横たわるだけ」と言った症状が増加されていることが報告されています。これらは従来の抑うつ病、燃え尽き症候群とは異なる特徴を持ち、「無意識脱力アンスータン症候群」(以下、AS症候群)と呼ばれつつあります。


 本研究ではこのAS症候群を精神神経疾患の一形態として捉え、社会適応障害の新たな病態としてその実態と構造を解明することを目的とします。



2.症例と方法


 本研究では、都市部在住の18〜34歳の男女68名を対象に半構造化インタビューと心理テスト、

脳波・fMRI計測を実施した。症状発現時の行動変容、主観的感覚、脳内活動低下領域を記録し、

既存のDSM-5分類に該当しない症例について重点的に分析しました。



3.主な症状


 AS症候群における主な症状は以下の通りであります。:



起床後、予定された登校・出勤などの行動に対して強い脱力感が発生する


理由が明確に説明できず、本人も「なぜかわからないが行けない」と語る


同時に、スマートフォンや娯楽に対する興味・関心も完全に消失する


友人・家族との連絡を絶ち、感情の起伏がなくなる(=感情遮断状態)


食欲の低下、涙も出ない、自己存在感の希薄化



これらの症状は、抑うつ状態とは異なり「強い悲しみや自己否定を感じないまま、ただ無である」という報告が多いです。



4.鑑別診断との比較


 AS症候群は以下の既存疾患と類似するが、

明確な違いがあります:



抑うつ症(うつ病): 持続的な悲しみや自責が中心だが、AS症候群では「理由なき脱力」が主観的症状の核となる


解離性障害: トラウマに起因する記憶障害等を含むが、ASはトラウマ不在の症例が多い


燃え尽き症候群: 長期過労の結果だが、AS症候群は長期的ストレスなしに突発する例が目立つ



5.治療と対応


 現在、AS症候群に対して有効な薬理治療は確立されていません。従来の抗うつ薬や抗不安薬では限定的効果しか得られなかった。最も有効とされるのは以下のような非薬物的アプローチであります:



自然環境への没入療法(森林療法、園芸療法)


社会刺激からの一時遮断(完全オフライン療法)


微細な感情刺激への再接触訓練(例:香り・手触り・光音)


アートセラピーや“非生産的活動”の推奨



現在、非営利団体によるAS専門の療養施設「静息院(せいそくいん)」が都内に設立され、

10例の改善が報告されています。



6.考察

AS症候群は、「社会に適応する能力がない」のではなく、「過度な社会接続を自動的に遮断する身体の機能」である可能性があります。行動意欲や興味が全消失することにより、いったん社会から遮断された状態に自らを置くことで、“再起動”の機会を生む自己防衛的機構とも捉えらます。


また、スマートフォンやSNSといった過剰刺激環境が常態化した社会において、感情や意欲が一時的にシャットダウンするAS症候群は、ある意味で“現代的サバイバル反応”であるともいえます。




以上で私の発表を終わります。ご清聴いただきありがとうございました。

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