第10話 税金
「イロキ様。ニンゲンの世界には、町のほかに城というのがございましてよ。次はそこを見てみるのはいかがかしら?」
「分かった」
僕はユリーナの案内でニンゲンの城に向かった。
そして、到着するまでもなく、大きな石の建物が見えてきた。
「ユ、ユリーナ、あれは何だい?」
「あれが城ですわ」
「あれが!? 僕たちの城とは全く違う!」
「ええ。私たちの城は、どちらかというと先日の町に近いですからね」
僕とイリーナは城下町に入る。
そこは、町とは全く異なったきらびやかな世界だった。
「いったい、ニンゲンはどうやってこんな城や¥城下町を作ったんだ?」
「それは、税金という仕組みによってですわ」
「税金?」
「ええ。ニンゲンには、税金という仕組みがありましてよ。国民からお金を徴収しますの」
「お金を? なぜ?」
「そのお金を使って、国民の生活向上をするためですわ。例えば水道や道の整備。あるいは、貧しい人への支援などです」
「え? でも、それでなぜこんな立派な城ができるの?」
「それは、徴収した税金の全てが国民に還元されていないからですわ。国の運営をつかさどるもの、ニンゲン世界では政治家といいますが、税金の一部を使って、このような立派な城を立てたり、自分たちの生活やぜいたく品のために使ったりしていますの」
「え? でも、そんなこと、国民が納得しないんじゃないの?」
「その点は、巧妙に隠されていますの。というより、非常に分かりにくい制度になっていて、政治家たちも、もはやどうなっているか把握できていませんの。国民は納得はしていなくても、複雑すぎて何をどうすればいいか分からない状態ですわね」
僕はまた、ニンゲンの不思議な仕組みについて知った。
【Ver.0】魔王になった僕が、勇者に倒されて世界を救うまで 光田ヒロシ @hm-ciao
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