3. 不適格者は死有るのみ

貴方あなたが今殺したかれは、光の法術を使う聖職者プリーストで、レベルも高かったのですよ。まり私の、いちの使徒に相応ふさわしき者。れを不意打ちで亡き者に、とは……」


 困惑する平木。


 無理も無い。散々強さをたたえて置きながら、まさここに来て、敗者をかばような事を言い出すとは。


「ええぇ? まさか、根暗ボッチの高藤ごときが? まさか光の聖職者プリーストだなんて、んなまさかへへ……」


 笑って誤魔化そうと云うのか……?


 人殺しの後で作り笑い出来るとは、たんりょくは相当とめるべきか。いやいつの場合はただのサイコだ。


 対して、女神の態度は冷めたままだ。


 微笑みを絶やさないが、目が座っている。


 ……


 れは平木、外した。


 殺人と言う、大罪を犯してまでの賭けが、はずれた——バツが悪い、など程度の言葉では済まされない。


 クラスメイトを殺した——人が死んだ。れはのサイコ野郎にとっては、さいまつな軽事かもしれないが、平木以外の全員にとっての認識は、『り返しの付かない凶行』だ。


 女神も含めてだ——女神がしょもう遊ばされてた、arc高位arch聖職者priestは失われた。して、の場の支配者ルーラーたる女神の不興ふきょうを買ったのは、平木にとって致命だ——『り返しの付かない失敗』だ。


「……でも負けましたよねコイツ? 弱いから負けたんですよね? 弱い奴は死んでいって……」


 おうじょうぎわ悪く言いわける平木に、女神があきれ顔で返す。


「大事なのはレベル。して希少性。貴方あなた能力スキルは『ヺーパル』。職種クラスは『プライヹート』。殺されたかれに、希少性もレベルも、遠く及びません——弱きが強きをくじくとは、何と罪深い」


 ……いやはやんだ引掛けだ。


 もっとも、の状況で、まで読むのは酷だが。


 線は決して悪くなかった。だが、早い者勝ち狙いの先走りが、完全に裏目に出た。早合点——いては事をそんじる、のさいたるパターンだ。


 と云う訳で、う、平木君。君には特別スぺシアル賜物ギフトが進呈される。


 ——


 平木は、はや完全に恐怖に固まってた。


 れでもかろうじて、へらへらとしたうつろな笑みをの顔に保ち続けてる。いまだ希望は捨ててないのか。あるいは、生来のなのか。


 の平木を、女神が指差す。


 と同時に、平木の身が硬直する。


 ごふっ、と口から血が。


 ——服が血に染まる。


 平木はで膝を突き、倒れ込む。


 しばらく、ぴくぴくとけいれんしてたが、やがて動かなくなった。


かれには罰が与えられました。みなさまも今後は軽率な行動はつつしように」


 微笑みで語る女神。


 行動と見た目のギャップが激しい。


 恐怖におののく一同。


 の中にはや、正義や人道を語れる者はないだろう——心は屈した。


 いや、普通の高校生にような非現実をしろと言うのだ。して、安定した先進国の社会で安穏な暮らしに浸ってた者達に、大人の傭兵でも尻込む極限事態なら猶更だ。


 さまを見た女神は、良しとするかのような面持ちで、追い打ちを掛けるかのように、


うは言っても、説明が足りなかったかもしれませんね。であれば私にも落ち度が有ります。なので、貴方あなたたちに、みなおのおのの身のほどわきまえ得られるように、はからって差し上げましょう」


 なにも無かった空間に、光の枠が現れた。


 立体投影ホログラム、か?——中に文字が記されてる。


 ——名簿、だ。


 試験結果などの、学力順位の掲示に似てる。


 名前の横に数値が。数値の大きい順番に並んでる。幾つか入れ違いが有るが、おおむの順だ。上位者数名には花丸印が。


「貴方達の序列ランキングは見ての通りです。上位の、花丸印の付いてる人は、此方こちらに来て下さい。先程のような事にしたくりませんからね。後、うですね、残りの下級品どもは、最低レベルと言うゴミの始末を。れが出来た者は、私のかたわらる事を許しましょう」


 花丸印の無いの他大勢の、雑兵認定者どもが一斉に動く。


 の目の追うあては、山田だ。


 最下の行に記された名は、状況の示す通り。


 うして山田は、追われる身とった。



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