第24話 ドーナツの穴

「大丈夫?風邪でもひいたの?」


「いえ、そういうお話ですので」


「少し休むか?」


「いえ、別に風邪ではありませんので。」

いや、心配されすぎじゃない?それだけこいつらにとって寺の子は重要人物であると伺えるな。…伺ったところで何にもならないが。


「それならいいな。じゃ、次俺な!」

切り替え早っ…




『ドーナツの穴』

 穴を穴だけ取り出せない。

「楽観主義者はドーナツを見る、悲観主義者は穴を見る」 byオスカー

みたいなことわざもあるくらい

ドーナツの穴は無であり有だ。

根底はこうである。


じゃあ、

ドーナツの穴はいる?

「イエス」私は答えた。


植物は生きていると思う?

「イエス」私は答えた。


木や竹などは食品に加工された後でも生きている?

「イエス」私は答えた。


じゃあ、これらの質問に why《なぜ》を付け加えよう。



なぜ、ドーナツの穴は必要?

穴があればドーナツだとわかるから。


じゃあクリーム入りのドーナツは穴のあるドーナツとは別物か。

「イエス」

なぜならクリームを入れられるために生地を薄く柔らかに作るから穴が必要ない。よって、それはドーナツではない。


なぜ、植物が生きていると思う?

水さえあれば木にだってなるから。太陽さえあれば大きくなるから。


なぜ加工された木材が生きていると思う?

樹液が出るから。ときには割れたり粉を吹いたりする。


さて、質問責めで頭がパンパンに満たされたところで。


あなたに質問です。

人間は脳死状態では生きているでしょうか、それとも死んでいるでしょうか。

こんなにスッと答えてくれるんですもの。

きっといい答えを待ってますよ。ね?




彼は蝋燭を肺いっぱいの空気で消した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る