第21話 りんしょう
「いや、こわいこわい!」
「その淡々と語る感じが乙だね」
なんかこの突然のホラー展開みたいなの久々だな。ちょっと怖かったぞ。
「良かった?ねえねえこわくなった??」
「ああ、こわかった。君はそういう喋りもできるんだな。」
いいね。これよこれこれ。
「うう…これ以上はちょっと自信ないな〜」
「大丈夫だって!もうすでにこの場がこわいから…」
テント全体が風になびいてがたがた震えている。
「うん…それはそうなんだけど…
わかった!私がんばるね?」
「よっしゃ!行ってこい!」
『りんしょう』
カエルの合唱を一小節ずつずらして歌う、その歌い方を“りんしょう”と言います。
誰かが歌ったら追いかけるように歌う。
輪唱と書いてひとりでは達成できないものとなっております。
地図にひっそり紹介される村。
その村は、とある妖怪がおりました。
その妖怪はとある一家と一つになり、末裔がその妖怪の伝承を保持していました。
その伝承とは…
“聞いたら死ぬ歌”
全部で五番まで
誰かが歌い始めると
ひとり一番まで一晩で歌わなくてはならない。
でも、全部聞いては自分の命がない。
そこで妖怪の末裔たちは村にその伝承を流します。
瞬く間に広がった。
家と家の間隔を離して
隣の家が一番を歌えば
私たちは二番
次は三番
四番…
五番。
全部聞くと呪われるものの、
途中で途切れたり
番を間違えてしまうと
これまた呪われた。
この不気味な村は
たちまち人口が減りに減り、
ついには残り三件となった。
歌は今日も流れる。
一番が聞こえたら
次は二番
その次は…四番
その次は…四番
その次も…四番
そう。
もう人間は気づいている
五番まで全部を聞けば死ぬのではない
“五番を歌えば死ぬ”ということに。
だから途中で途切れたり違う番の歌詞を歌ったりすればいけないというルールがあった。
わざわざ五番まで繋ぐために。
そのためにわざわざ民家を2つ用意した。
【確実に五番を人間に歌わせるために】
残ったひとつは人間か。
はたまた……
「おや、私はただの人間ですよ?おかしな
そう、祓い屋は笑った。
彼女は無意識に吹き消した。
「あっ…」
という寺の子の声が聞こえた気がした。
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