第9話 ゆびきりげんまん
さて、話そうか。まだまだ夜は長いさ。
肝を冷やすにはまだまだ早いよ。
『ゆびきりげんまん』
ゆーびきーりげんまん
ウソついたら針千本のーます
ゆーび切った!
私の地方ではこれが普通なのだけど
…ま、地域差は置いといて。
小指を重ねて約束事を唱えるこれは
字面はとてもこわいと思わないかい。
始めに考えた人はいったい何を思ったんだろうね。
指切り拳万
嘘付いたら針千本飲ます
指切った
漢字で書くとこうなるね
指切り拳万…小指を重ねる行為であると語られているが漢字はこれだ。わかるよね
嘘付いたら万回殴られるんだ。
針千本…昔はハリセンボンっていう海の魚のことだと思っていたけど違うんだね
ちなみに針は釘という説もあるみたい。
指切った…約束を守れなかった場合代償として指切るらしい。
または忘れないために、先に指を切っておくこともあるらしい
その昔。
これは悪魔の契約として使われていたらしい。
だから明日の友達の約束とかそんなんじゃなくて
“お金を○マン借りた”
“あなたとわたしの関係…”
とか、絶対に破られたくないときに使われていたらしい
「ねえ、覚えてるよね?」
「なにが?」
「指切りしたじゃない。」
「そうだったか。」
「ああ、そう。なら…」
「おい、なにを……うあっ!」
_____。
「も、もう忘れません…」
「そうよ?だって約束したよね?」
「はい。しました」
「それとも命を狙ったほうが」
「いや!やめてくれ…」
「破ったんだし契約に則って呼び出しても…」
「も、もうしませんから!」
悪魔は鬼と同じ認識。悪いものや良くないものの象徴として存在してきた。
呼び出すということは悪いところがモロ出しになるのと同じ。
人間、隠したいことがひとつじゃないのは事実。それらが全部出てしまうんだから恐ろしい。
いや、ちょっと待て。それを呼び出せる彼女は一体……
「はい、終わりだよ」
寺の子はあおいで火を消した。
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