第2話 夜の爪切り

 僕の完璧なお話しで肝を冷やすが良いさ




『夜の爪切り』

夜に爪を切ってはいけません。

親の死に目に会えなくなりますよ


 俺は孤児。かつて親と呼んだ人ももう居ず。

大人になった今、

一人暮らしをするアパートで

何気なく夜中に爪を切ろうと爪切りを片手にふと考えた。


「夜に爪を切ってはいけません

親の死に目に会えなくなりますよ」


ふふ……、所詮は言い伝え…

信じなければどうということはない…

大体、もう親なんて居ないんだから…と

完全に舐めていた。

今なら分かる

「夜に爪なんか切らなきゃよかった」と。



ぱちん…


ぱちん、ぱちん…


爪を切る音が静かな夜に響く


ぱちん…じゃきん…


ぱちん、ぱちん…

じゃきん、じゃきん…


なんか、やまびこみたいなノリかな?

爪を切った音と同じ数だけ帰ってくる音に

特に気にかけもしなかった。


ぱちん

じゃきん


ぱちん

じゃきん




ぱちん


じゃきん



ふうー全部の指の爪を切り終えたぞー

ほら?やっぱり所詮は言い伝えだ

根拠なんてあったもんじゃない


だいたいにして……

………!


じゃきんっ





______


「ね……」

「「「こわいって」」」


「なんで最初から本気出すんだよ!」

「後に話す人の気にもなってよ」

「君ってやつは…」


あれ…

僕もしかしてやり過ぎた?


僕は立ち上がって蝋燭一本に息を吹きかけた



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