この世の未練を夢のなかで断つ！　平安ファンタジックラブストーリー。

平安時代。
人は死ぬと、魂が〝蛹石（さなぎいし）〟となり、〝蛹石〟から蝶が羽化して、魂（＝蝶）が来世へと旅立つことができる世界。
〝蛹石〟のなか、つまり死んだ人の夢の世界にはいって、その人の未練を断ち、羽化を導くのが〝羽化師（うかし）〟
れっきとした、国のおかかえのお役人だ。

さて、その羽化師で、ごく少数派、女性ながら羽化師をつとめる綾埜（あやの）は、ある日、〝蛹石〟泥棒の青年、颯（かえで）の犯行現場に立ち会ってしまう。
そのまま、颯に誘拐されてしまう綾埜。気が強い綾埜は、泥棒に屈することはない強い女性だが、楓は、ただの泥棒にしては、訳ありのようで………？

気が強いヒロイン✕ミステリアスな泥棒ヒーロー。

楓が、綾埜に思わせぶりな態度をとったりで、ラブロマンスとしても面白いです。
描かれている世界が非常に美しく、光を放つ〝蛹石〟や、死者の夢のなかにはいると、〝羽化師〟が色とりどりの蝶になって行動することなど、独特の世界観にうっとりします。

話は、さまざまな、羽化できなかった人たちを描き、そのうち、〝羽化師〟の闇に迫っていきます。謎を解き明かしていくストーリーで、読んでて飽きません。

おすすめですよ。
ぜひ、ご一読を！