第2話 赤ちゃんVS船酔いならぬ親父酔い?

気づいたら今日から何年も過ごす家にやってきていた。そして知らな男の人に抱かれていた。

(誰。このおじさん。)

「パパだよお。こんにちは。宗く〜ん」

むきっとした腕に抱えられて、じょりじょりの髭が近づいてくる。

(ぎゃあああああ。恐怖でしかない。目線が変わるとここまで恐怖なのか。)

「あそこが宗くんのスペースですからねえ⤴︎。」

俺はそう現在、現役赤ちゃんだ。なぜか前世の記憶、大学生の頃までの記憶は持っていて、東大に合格できていたのだから、そのレベルの学力も残っている様子だ。そして、半強制的に10数年は家に今いる。

木材で組まれた、長方形の中に、入れられる。今俺の持ち合わせている能力スキルすなわち… [泣くこと]だ。これを発動すると何かロクでもない(個人の感想)な目に遭わされる。つまりそれは

-泣けない-

ということ。どうすればいいんだ。

詰みだ。

前世よく将棋をしていたが、前世のおじいちゃんが中々強くて、一度も勝てたことがなかった。最初の方は勝てそう…って思うけど、後半になると一気に畳み掛けられて負けるんだよな…

(な…なんだか…ね…ねむく)

気づいたら時間は3時間進んでいた。(時計情報)運が良くテレビが見える角度で見える位置だ。

(なになに…)

『学校占拠か…?生徒ら暴動』

って、アホくさいニュース。

(チャンネルを変えたい。チャンネルを変えたい。チャンネルを変えたい。おっと、なんだ?次のニュース面白そうってああ。)

CMだ。え?どうした?ACジャパンばっかりやん。どっか大きな災害でもあった?

(やっとCM明けた。ってあれ?な…なんだか…ね…ねむく)

わかった。俺は、考えすぎると眠くなるようだ。

(ってなんで…?なんで、親父の腕の中で揺られてるんだよ!酔うて酔うて吐くて、一回高校合格祝いでクルーズ線乗った時も吐いたもんな)

このリズムどこか懐かしい…。思い出せるあの笛と太鼓の音それって

(盆踊りじゃねえか。おい、カレンダーはまだ5月だぞ?)

これを今日から船酔いならぬ、親父酔いと定義することにする。

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