東大ベイビー

こーいちろー

第1話 赤ちゃんVS天然原材料ミルク&母親

俺はそう

現在、現役赤ちゃんだ。なぜか前世の記憶、大学生の頃までの記憶は持っていて、東大に合格できていたのだから、そのレベルの学力は持ち合わせている。そんな俺は、今日初めて自分の家に連れて帰られる。

(抱っこされながらあやされるのだが、とても不快だ。酔う。なるほど、特急電車に乗ったってことは、里帰り出産だったのか)

車内アナウンスが流れ始めた。

(ほうほう。あずさってことは、山梨のあたりから乗ったのか。)

「宗く〜ん」

母親の声だ。今の所の一番の天敵。何かあるたびに何かしてくる。

「ミルクの時間ですよ〜。は〜い飲みましょうね〜」

無理矢理哺乳瓶を口に押し込まれる。

(うえっ。まっず。でもそうするしかないもんな。やばい。まずすぎて、涙出そう。)

「うえーん」

(はっ。しまった。これまでの傾向と経験から泣いたらさらにミルクを飲まされる。おそらくこの場合ミルクを85%の確率で飲ませてくるだろう。残りの15%を祈るしかないな)

「どうしまちたかー。まだ飲みますかー?」

(たのむ)

母親の手からこちらに哺乳瓶が向かってきた。

(あ。やばい。これで確率は99.9%に等しくなった。)

どうしようもない。体を固定されているのだから。

再び哺乳瓶が口に向かってくる。

(すごくまずい。コーラ飲みたいな。パッケージには、天然原材料って書いてたけど、絶対なんか混ぜてるだろ)

再びさっきのザラザラした味が戻ってくる。

(絶対泣かない。絶対泣かない。まだ賞味期限1ヶ月切れてるお菓子の方がうまい。大体天然原材料ってなんだ。狸の汁狐の母乳でも入ってんのか飲んだことないけどなんだか眠くなってきた。睡眠剤…い…れた…)

後から考えれば睡眠剤が入っているわけがなく。

気づいたら今日から何年も過ごす家にやってきていた。そして知らな男の人に抱かれていた。

(誰。このおじさん。)

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