帰り道、決意

 「どーしたかな」

 学校からの帰り道、独り呟く。

 いや、これは本当にどうしようかとか考えているわけではない。どう断ろうか、それを考えていた。

 理由はシンプル。面倒くさそうだからだ。あと怖い。

 助けてもらったのは感謝している。でも、自分がそれをしたいとは、あまり思わなかった。

 自分が死にかけた自覚がないからかもしれない。それに、あの食われている最中、助けてほしいとは思わなかった。

 逆に気持ちよかった。

 これは花の催眠効果らしいが、どうでもいい。なんか、死んでもいいと思っている人を助けるのは、傲慢な気がした。


 さらり、さらさら。


 また、どこかからあの音がした。

 前を見ると、道端にあの赤い花がたたずんでいた。

 だが、ひとつ今朝と違うところがある。

 先客がいた。その黒髪の人はうっとりとした顔をそっと近づけて、匂いを嗅いでいた。

 ああ、鼻がなくなった。次は目が。口が。

 頭がなくなったら? 死ぬんだろうな。


「え? まじで?」


 何言ってんだ? さっきまで余裕こいてたくせに。

 あの人の顔の凹凸はさらになくなっていく。

 俺はその人に駆け寄る。

 

「……あの、大丈夫ですか?」

 わずかにその人の肩がびくっとしてくれた。

「その花、危ないやつですよ」

 俺は息を吸い込む。そして、ぶつける。

「それ気持ちいいですよね。分かります。でも、僕の前で消えちゃうのは、やめてください。お願いですから」

 花狩りとか、わけわからんのにはなりたくない。

 でも、

「死んでほしくないんです。仲間がほしいんですようまく言えないけど」

 しんどくて、気晴らしに逃げてしまうけど、それでも何となく生きてる仲間。


「なんか、だから、戻ってきてくださいよ」


 花なんかに負けないでよ。



 

 

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血の花 雨笠 心音 @tyoudoiioyu

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