春を迎えない青

引退宣言をした覆面作家・朝比蒼司（あさひそうし）。
彼の元を訪れたのは、担当編集者・榊（さかき）。

一杯のコーヒーが冷めるまでに交わされたのは、作家の引退話のはずだった。
静かな会話の応酬は、やがて記憶の綻びや歪みを浮かび上がらせ、“もう一つの物語”の気配をにじませていく。

四角いテーブルを挟んで対峙する相手は強敵だ――。

閉じた時間、限られた空間、ふたりきりの言葉の攻防。
会話だけで進む心理ミステリ。

筆を折った作家と、彼の手を離さない編集者。
一杯のコーヒーが冷めてからが、物語の始まり。



◇◇作者コメント◇◇

noteで連載していた「編集者と作家」です。
note系列の小説投稿サイトTalesにも掲載しています。
大体５万字弱の短編で、完結済です。
カクヨム向けにレイアウ…続きを読む