第7話 軒下にぶら下がるイノシシ

限界集落チックな、山間地の田舎では、イノシシやシカやサルの

農作物への被害は、深刻。


===================


仕事が休みの日の、ある土曜の早朝。家の電話が鳴った。

「今日、今から韓国旅行に友達と行って来る~。

さっき、罠にイノシシが掛かってて。さばいといてね~。」

ガチャ!(電話が切れた)


「はあ??」




電気柵では補えない箇所に、許可を取ってイノシシ用のロープ罠を仕掛ける。


まあ、ロープ(ワイヤー)罠に掛かるイノシシはめったにいない。

なのに、義両親が韓国旅行に出かける日の当日の早朝に、掛かっていたらしい。


取る物もとりあえず、夫と義両親宅に駆け付けた。


農機具小屋の軒下に、血抜き途中のイノシシが、ぶらーんと釣り下がっていた。

捕れたて新鮮。まだ暖かいイノシシ。


田舎では、捕れた動物は自分達でさばく。


さばいてから、近隣のお宅にお裾分けするのだ。

売ると、調理資格がないので、罰せられる(らしい)。

(売り物に出来る程、上手にはさばけないよ。(笑))


実母が、ハンティングをする人で。

猟銃担いで、犬連れて山歩きする人だったから、イノシシのさばき方は知ってる。


でも、人生初のイノシシさばきを、丸投げされるとは思ってなかった。


記憶を頼りに、せっせとさばいて。

一心不乱に。

時間との勝負ですから。

時間かけたら、獣臭さが半端ないので。


そして、半日かけて、肉を切り分け、小分けにして冷蔵庫に、イン!


残ったのは、軒下にぶら下がる

骨。


風が吹いたら、揺れて……


こわっ!!


でも、どうやっても、重くて、降ろせない。

「ごめんね。」とあやまりつつ。


そのままにして、帰った。

韓国旅行から、3日後帰って来たら、びっくりするだろうな……。


寒い季節で良かった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る