第5話 田植えって、命がけです
のどかな田園風景の中、耕運機に乗って、のんびり田植えをしている風景を、
日本人なら1度は、テレビ画面からでも見た事があるのではないでしょうか。
耕運機、田植え機という農耕機械は、実はとても危ない乗り物です。
この田植え機の車輪、とにかく、ストップがききません。ブレーキかけても、ロックされたままで、ずるずる滑っていくのです。
一旦滑り始めたら、自力では止まれません。周囲に誰かが居れば、力ずくで押し留めます。無理な場合は、運転者は、飛び降ります。
ここでは”田植え”に用いる『人が乗って、田んぼに入り、農耕機械が稲を植える』
作業について、ちょっと説明。
田植えを行う時、まずは”田植え機”(お年寄りはそう言う)を、田んぼに乗り入れなければなりません。
この時、田植え機には、植え込む苗をみっちりと植えた”苗床”なる物を、積めるだけ積んでいます。それは、相当な重量に達しています。単位はトン「t」だと思います。(個人見解)
人によっては、田んぼに乗り入れてから、苗床を積むようにしている場合もありますが、危険度合いは、変わりません。
その重量物を載せた農耕機械が、車輪にゴムタイヤなどはめていない”ザ車輪”が、農道から田んぼへ乗り入れる為のスロープを、回転しながら、ずるずる滑りながら、乗り入れていきます。(スロープの勾配は、田んぼの形状により、まちまち。)
車輪は金属で出来ていて、接地幅は、3cm程度でしょうか。
無事に、田んぼまでのスロープを下りきって、田んぼに乗り入れる瞬間が、また危険なのです。
田んぼの土は、びちゃびちゃです。ぬかるみです。人が踏み入ると、膝位までズボッとはまります。
田んぼの縁と、スロープの終点は、見た目では、段差はありません。
しかし、田んぼに一歩踏み入れた瞬間、ぬかるみに前輪がはまり込むのです。当然、田植え機はバランスを崩します。
運転者は、そうなる覚悟で、身構えて乗り入れます。
それでも、想定外の事態は起きるのです。
田んぼの泥に片輪だけが深くはまり込んでしまった、とか、苗床が崩れた、とか。毎回、乗り入れる度に、スリル満点です。
最悪、バランスを崩した田植え機が、横転します。
そうなったら、運転者は、飛び降ります。
しかし、農業者が、80歳近い、とか、ご高齢だったら。
覚悟して乗っていても、咄嗟の動きがとれない。
飛び降りれなかった場合は、どうなるか。
相当な重量物の農耕機械の下敷きになるのです。
自力での脱出は、絶望的です。
毎年の、田植えの時期。
無事に田んぼまで到達し、無事に田んぼの中に田植え機が入ったら、ほっとするのです。
田んぼの数だけ、その危険な状況を乗り切って、田植えが出来た、ということです。
田植え機が、滑り始めたら、毎回、
こわっ!!
と委縮する私。
小心者は、命がけの田植え機には、乗れません。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます