第2話 可愛い巨乳美少女ホムンクルス

「よし! これで魔物の骨は揃った。あとは、ふわふわスライムの欠片だけだが……どこに居るんだよっ!」


 北部の村に着いて、すぐに巨乳ホムンクルスを作るのに必要な材料集めに着手した。

 田舎の村の宿を拠点に、周辺の獣系の魔物を殲滅したり、山に自生する薬草を探して周辺の土ごと回収したり、洞窟の中で光る石を削り出したり……と、他にもいろいろ頑張って、美少女ホムンクルスを作る素材は全て集めた。

 だが、ある意味で最も肝心な、柔らかい胸を盛る為に必要となる材料が見つからない。

 ここはどうしても拘りたい箇所なので、妥協は出来ないのだが……かつて得た知識と経験を全て注ぎこんでも、対象のスライムが発見出来ずにいた。


「ふわふわスライムって、前の異世界では海に浮かんでいたんだよな。その名の通り、ふわふわと」


 もちろん海にも行ったし、冒険者ギルドというところで聞き込みもしたが、何の情報も得られない。

 とりあえず、貧乳美少女ホムンクルスなら作れるが……あ、待てよ。


「……これまでの異世界で入手した素材でも作れるのかな? それなら、同じ素材があるんだが」


 少し悩み……とりあえず作ってみる事にした。

 とはいえ、流石に宿屋で行うのはマズい。

 材料探しで副産物的に得た貴重な薬草や鉱石を売って資金はそれなりにあるので、何処かの家を買うのも手だな。

 だが、田舎の人付き合いは面倒なイメージがあるし、とはいえ街だと王族の手の内の者が多そうで、異世界人だというのがバレたら面倒だ。

 広い土地を買って、人が近寄らないようにするのがベストではあるが、そこまでの資金はないし……そうだ!


「本当にこちらの物件でよろしいのですか?」

「はい。これこそ、神の宿る場所です」

「そ、そうですか。では、こちらが鍵になります」


 村長が困惑していたが、村の外れにある廃屋のような教会を購入した。

 そこそこの広さがある上に、この見た目なので誰も近付かないだろう。

 外観はこのまま放置し、内装を綺麗に修理して、俺と巨乳美少女ホムンクルスとの愛の巣にするんだっ!

 教会の一番奥の部屋に魔法陣を描き、中心に材料を配置すると、早速を錬金魔法を使用する。


「巨乳美少女ホムンクルス生成!」


 俺の気合の入った言葉に応じるように魔法陣が光を放ち、部屋が真っ白になる。

 目を閉じても光を感じる程の光量で……光が収まった時には、魔法陣の中心に全裸の巨乳美少女が立っていた。

 胸を含め、身体は一切文句なしのプロポーションで、俺が思い描いた通りの十八歳の少女になっている。

 この世界で普通に買い物などが出来るようにと金髪にしたのだが、腰まで伸びる長い髪が陽の光を浴びて繊細な輝きを放っていた。

 そして、アイドルとして売り出せるのではなかと思える程に整った顔で、可愛らしい小さな口と、ほんのり紅みを帯びた頬に、長いまつ毛と青く大きな……ジト目?


「ん? 成功……だよな? 俺の事がわかるか?」

「はい、マスター。私に名前を設定してください」

「おぉ、喋った! けど、何だか抑揚がない喋り方だな」

「マスター。名前を設定してください」

「……そうだな。じゃあ、フローラにしよう」


 名前を設定しないと、ちゃんと動かないのかも……と思い、早速名前を付けたのだが、相変わらずジト目で無表情のまま俺を見つめてくる。

 だったら……これでどうだと、大きな胸に触れてみた。

 ……おぉぉぉ、柔らかいっ! 羽二重餅みたいで、指が埋もれたっ! これは、いつまでも触っていられるっ!


「……」

「……あっ! こ、こほん。ほ、ほら、胸を触られているんだぞ? 何か言う事はないか?」

「……楽しいですか?」

「……あ、はい」


 ダメだぁぁぁっ! いや、容姿は完璧なんだけど、性格が思ってたのと違ーうっ!

 ほら、もっとあるだろ?

 こう、触られて頬を赤らめたり、恥ずかしそうにしたり、口では嫌そうにしながらも、まんざらでもなかったりとか!

 何をされても無表情で、ノーリアクションは辛いんだが。


「えーっと、事前にフローラの服を買っておいたんだ。サイズはピッタリだと思うから、好きなのを選んで欲しい」

「……では一番手前の服にします」


 フローラがメイド服に着替えたけど、ただ一番近くにあったからなんだろうな。

 しかし、容姿は完璧なのに、どうしてこうなったんだ?

 ステータスウインドウを出して錬金魔法スキルを表示すると、ホムンクルスの生成についての記述を調べてみる。

 必要な材料が頭に浮かぶので、詳細に調べていなかったけど……お、あった。


『ホムンクルス生成は、容姿によって必要な材料が変化し、性格は生成時に術者が注ぐ魔力の性質によって決まる。尚、容姿も性格も、生成後に変更は不可』


 注ぐ魔力の性質って何だっ!?

 魔法には六つの属性が存在するから、光属性を多めにとか、土属性は少なめに……みたいな調整をしないといけないって事なのか!?

 しかも、材料は浮かぶくせに、注ぐ魔力については一切情報が無い。

 更に性格は生成後に変えられない……って、マジかぁぁぁっ!

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