大きな問い
――――――
「なぁなぁ」
入学式でたまたま隣になった見るからに陽キャが話しかけてきた。
「は、はい?」
「俺、
「え……えと……橘瑠衣です……」
「瑠衣!いい名前だな!」
「ど、どうも……」
「よろしくな!瑠衣」
そう言って、屈託のない笑顔で右手を差し出してくる森君。
「よ、よろしく……」
僕らは握手を交わした。
入学式後、僕らは食堂で昼食をとった。森君はカレーを、僕は唐揚げ定食を食べながら雑談をした。
「瑠衣は彼女とかいんの?」
「え……いや……いないです……」
「あ、そう?ならー……なんでこの大学来たん?」
「特に理由は……」
「そ、そっかぁ」
雑談と言っても、森君は話を盛り上げようと何度も話しかけてくれるが、僕は上手く返すことが出来ない。今だって本当はこの大学にどうしても来たかった理由があるのにも関わらず嘘をついた。正直僕は森君が苦手だ。陽キャすぎる。
多分そんな僕に嫌気がさしたのだろう。
「あ、悪い瑠衣。この後poitterで繋がった奴と会う約束あるんだったわ。ごめんな?」
と言って足早に食堂を去っていった。僕でも分かる、あれは恐らく嘘をついていた。
それからというものの、森君はキャンパス内で会った時挨拶だけしてくれるが、それ以上話すことは無くなってしまった。所謂"よっ友"というやつだ。
他にも、小教室で隣の席になった人、気まぐれで参加した、サークルの新歓で話した人。一度話すことはあっても、次に話すことは滅多にない。みんな優しく話しかけてくれるが、僕は緊張や焦りで上手く話せず、みんな僕のもとから去っていく。
そこから僕は人と積極的に関わりを持つことをやめた。
――――――
そこで僕は気がついた。なぜシオンさんとは普通に話すことができるのだろう。ピアスもつけていて、髪も銀髪に染めている、見た目だけで陽キャだと分かる。声も女性にしては低い方だろうが、口調は陽キャそのものだ。なぜ僕はシオンさんと普通に話せるのだろう。僕の頭の中に、この大きな問いが浮かんだ。
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