君って、つまらないね
「ボクを、お嫁に貰ってください!!」
"は?"
戸惑いを隠せずにいると、目の前の幽霊さんは立ち上がって部屋をうろうろしながら饒舌にしゃべり続ける。
「ボクは君にあんな恥ずかしいとこ見られちゃったんだよ?もうお嫁に行けないよ……//」
顔を赤らめながら僕を見つめてくる。
「……は?」
「なにその間抜けな顔」
唐突にそんなこと言われたら間抜けな顔にもなるだろ。
「じょ、冗談……ですよね??」
あまりにまっすぐな瞳が僕を見つめてくる。
「本気だよ」
"ですよねー"
一回落ち着こう。もちろん顔は"ド"タイプ。だからといって幽霊と結婚する、なんて趣味は僕にはない。というかお互いに名前も知らないのに結婚とか出来ない。
「……で、でもですよ?僕たちお互いに名前も知らな……」
「知ってるよ?
「も、もういいです。わかったから」
「ね?ボクはちゃんと君のこと知ってるよ?」
幽霊さんのことを完全に舐めていた。どこから見つけた情報なのか知らないが、本名や生年月日、好きな食べ物まで知っているなんて……。
「でも。僕はあなたの名前も何もかも知りません」
「あ、そっか。そうだね。ボクはシオンって名前。苗字は……もう少ししたら"橘"になるかな?」
ニマニマした顔でこちらを見てくる。
「誕生日は覚えていない。今は二十歳だよ。好きな食べ物はシュークリーム。意外だろ?まぁ、今は食べられないんだけどね」
自嘲気味に笑っている。
「ね?これでボクの事も少しはわかったでしょ?ほら、いつでもいいよ?」
目を閉じて、少しだけ唇を突き出してこちらを向いている。いわゆる、"キス待ち顔"というやつだ。
「ほら〜早くして〜」
目を閉じたまま急かしてくる。
「触れないんですよ?知ってるでしょ?」
キス待ち顔をやめて、呆れたような顔で目を開ける。
「知ってるよ」
「ならなんで……」
「君って、小説書いてるくせに……つまらないね。」
"ぐはっ"
―――――――――――――――――
少しでも面白いと感じていただけたら、♡や☆での応援お願いします!
コメントも頂けると励みになります!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます