幽霊さん
「つんつん……つんつん……つん……ぶすっ。あっ、貫通しちゃったぁー」
うるさい。すごくうるさい。
さっきから僕の頬をつんつんして遊んでいるのは、最近僕の家に住み着いている幽霊さんだ。
銀髪ウルフの派手髪に、耳にはたくさんのピアス、おまけに首にはシンプルな黒色のチョーカー。薄いグレーのカッターシャツは襟のボタンまでしっかりと留め、黒のスキニーパンツを履いている。
そこそこ中性的な見た目だが、胸元には決して大きいとは言えないが、目に留まる双丘がある。
はぁ……。
心の中でため息を吐く。
幽霊にはいくつか特徴がある。
一つ目、こちらからもあちらからも触れることが出来ない。
二つ目、年老いている幽霊ほど、体の色が薄い。色白。という意味ではなく、透明に近い色になる。
つまり、今僕に触れることが出来ないのに頬をつついて遊んでいる幽霊さんは色が濃い。パッと見、生きている人間と大差ない。
おそらくこの幽霊さんは僕が霊感があり、幽霊が見えることを分かっていない。この幽霊さんがうちにやってきて三日目になるが、僕が寝ているとどこからともなくやってきては、頬をつついたり、耳元で囁いたりしてくる。この幽霊さんは遊びのつもりだろうが、僕からすると迷惑以外のなにものでもない。正直見た目はどタイプだが、これ以上幽霊と絡んで周りから白い目で見られるのはごめんだ。
はぁ………
今日何度目か分からないため息を心の中で吐く。
今も僕の頬を一生懸命つついている幽霊。
「つんつーんー……ぐりぐりぐりー……ははっめっちゃめり込むー」
なんなんだこの幽霊は。
こんな風に自分から人間と関わろうとする幽霊は今まで見たことがない。故に僕はこの幽霊さんに興味がある。
話しかけてみたい。だが、面倒なことになりたくはない。
僕の中で相反する感情が激しくぶつかり合っている。
"ふぅーー"
「ひゃいっ!!」
し、しまったっ……
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