これは愛の物語か。はたまた執着と狂気の物語か。
主人公である杏奈には「血の繋がらない兄」がいる。そんな彼にひそかな想いを抱いていた。
しかしある日、兄に恋人が出来たのを知る。栗原という名の女性と出会ってから、心穏やかでない日々を送ることになる。
どうしたら兄と一緒にいられるか。義理の兄と結婚するにはどうすればいいかなども調べていた杏奈。兄のプライバシーなどもこっそりと覗き見ていて、本当に兄にふさわしいのは自分だと考えてもいた。
そんなある日、杏奈は「ある決定的な事実」を掴むに至って……。
杏奈はかなり計算高く、そして行動する時には躊躇いを持たない。
強い執着心を持っているため、彼女のしていることは「狂気」と紙一重の危うさもある。
でも、彼女が誰かを不幸にしているかというとそうでもない。彼女が「壊したもの」にはどれほどの価値があるものだったのか。その部分は人によって大きく判断が分かれるものだと思います。
「清と濁を併せ呑み、それでも受け入れ、知らないままでいるのが幸せなのか」
「それとも濁りを発見してしまったら、そんなもの捨ててしまうのが真の正しさか」
根っこの部分にあるのは「私が彼にとっての一番」という想いなので、そこには善も悪も存在しない。
こんな彼女に愛される兄。彼は果たして幸せなのか。そして、二人はこれからどんな未来を迎えるのか。そんな色々なことを想像させられました。