チビッコギャングと最後の作戦
紗倉もち
第1話
秘密基地とおもちゃのピストル
ロンドン郊外の、小高い丘のふもとに、今は使われていない古い農具小屋があった。木の板は剥がれ、屋根は傾いていたけれど、その場所は3人の少年たちにとって、最高の“アジト”だった。
「今日もここ、俺たちだけの秘密基地な!」
そう宣言したのは、いつも真ん中に立つチャーリー。髪は金色に近い栗色で、やけに大人びた目をしている小学校2年生。3人の中では一番年上で、自然とボス的な存在になっていた。
その横にいたのが、少しおっとりした笑顔のエディ。ポテトチップスと冒険が大好きな、ちょっと太っちょの少年。そして、もう一人は黒髪のショーン。小柄で静かだけれど、何かを思いついた時の目の輝きは誰にも負けなかった。
今日、3人がアジトに持ち込んだのは、ジャンクショップで見つけた「すごくリアルなおもちゃのピストル」だった。
「見てよこれ、銀色に光ってるし、ちゃんとスライドも動く!」
「おお〜、なんかスパイ映画みたいじゃん!」
チャーリーがニヤリと笑って言った。
「これで“作戦”しようぜ。俺たち、チビッコギャング団って名前にしよう」
「それ、いいね!」とエディが笑い、「でも、何するの?」とショーンが聞いた。
チャーリーはおもむろにピストルを構え、空気を切るように「パン!」と叫んだ。
「お菓子屋に行って、“これ”でちょっとビビらせてみようよ」
それは、悪意のない“ゲーム”のつもりだった。
まさかそれが、街を少しずつ変える事件の始まりになるとは、誰も思っていなかった——。
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