アブノーマル・アンダー・フィクション
YOSHITAKA SHUUKI
SOS
ピピッ――ピピッ――ピピッ――。
繋がったか。聞いてくれ、カクヨムや小説家になろッ!の読者の諸君。俺は水底から音波を発信している。光も届かない深海で。
身の回りには、俺等の同胞が沢山いる。みんな、水底に迷い込んできた者達だ。みんな、君達に救いを求めている。『見つけ出して欲しい』と切に願っている。
何時だって成功者の言葉が目立つ。エジソン、アインシュタイン、彼等の名言は来世にまで引き継がれ、生まれてくる子供に教え込まれていく。でも失敗者はそうじゃない。吐き出した名言はそのまま重力で、下に落ちていく。誰の目にも届かず、朽ちていく。
もう少しで通信が途切れそうだ。今日はココまでにしよう。また、明日、同じ時間に通信する。
ピピ――ピピ――ピピ――。
どうして閲覧数が全然増えていないんだ。理解に苦しむ。応援のサインを出してくれた人には感謝をする。
読者は新着小説を閲覧しない傾向にあるらしい。とある記事で、そんな文章を目にし、目の当たりにした。やはりそうなのか。
ではなぜそうなんだ。新着小説にこそ、新しい発見や、面白い出会いがあるだろう。誰も目にしたことのない未開拓地があるに決まっている。
足を踏みいれたことのない秘境に足を踏み出すのがそんなに怖いのか。お宝が眠っているかもしれない、金銀財宝がザックザクかもしれない。
もしかして新着小説をアマゾンの奥地とでも勘違いしているのか?新着小説はそこまで怖いものじゃない。蛇も、カエルも、ワニもいないのだ。
喰われることもない、巻き付けられることもない。
あ、もう通信が途切れそうだ。また明日、同じ時間に発信する。
[追記]同じ時間に発信しても無駄だと分かった。時間帯を変えて発信する。
ピピ――ピピ――ピピ――。
無視して楽しいか?我々は全世界に発信したつもりだったが、どうやらそれは思い違いだったらしい。我々が思考して生み出した言語は大気中に空中分解し、溶けて消える寸前。
もしかして無視をしろとでも教わったのだろうか?それは面白いしつけの仕方をするもんだ。数の多いところに羽虫のように集まり、他にも同じぐらい素晴らしい小説を無視する。実にくだらない。星の数が多い程面白いわけではない。星の数が少なかろうと面白い作品は沢山存在する。
じゃあ、同じ立場に君ラがもし立ったとしたらどうする。自分の思いを言語化して小説に綴る。どんな感想が来るのかな?レビューくるかな?そんな期待を抱く。
ところがだ。感想どころかレビューどころか、人が来やしない。ランキングだけを見てレビューだけを見て、新着小説という財宝に目を向けない。
ああダメだ。理解ができない。また明日発信する。
ピピ――ピピ――ピピ――。
冗談だろう!?あまり笑わせるなよ日本人。日本人のくせに、日本語が読めないのかっ!?
-素通りしないでくれ-
どうやらこの言葉が現代人には意味が通じないらしい。もしかしたら通じていながらも、無視をしているのかもしれない。だとしたら人として大切なものを失っているぞ。
道端で助けを求める老人に手を差し伸べないのが現代人。溺れている人を助けないのが現代人。というレッテルを貼られるぞ。
オイオイオイオイどうなってんだ本気でオイ!
地震の募金をしたことがあるか?したことがある人が多いと思う。それと同じことだぞ!?いや違うかもしれないが。
意味が分からない意味が分からない意味が分からない意味が分からない意味が分からない意味が分からない意味が分からない意味が分からない。
ソレができてコレができない意味が分からない。あーあ。このまま俺達は見殺しにされるんだろうな。太陽の見えない水底で「才能」やら「努力」やらの言葉に縛られ続けるんだろうな。
明日また、同じ時間に発信する。どーせ、無駄だろうが。
ピピ――ピピ――ピピ――。
お腹が減った。なにか食べるものが欲しい。この水底に食べ物はない。
終わった。
もう何をしても無理だということが分かった。人類を滅ぼしたいという悪役の気持ちが今ならよく分かる。
お前らはゴミだ。
もう怒る気力もない。くたばれ。
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