フードデリバリーのバイトをはじめたらダウナー系ポンコツ美少女の家にお呼ばれするようになった件

藤白ぺるか

第1話 フードデリバリー

 デリバリーバッグを背負い、ヘルメットを被り、自転車に乗る。

 ハンドル中央に固定したスマホを確認し、次の配達依頼が通知されるのを待つ――。


 この春、俺――相沢悠希あいざわゆうきは、高校生になり、新生活をスタートさせた。


 新生活と言うだけあって、入学前の三月から一人暮らしをしている。


 実家は空気が重くて、居心地が悪かった。

「学費と生活費を自分で稼ぐならいい」と親から条件を出され、半ばダメ元で頼んだら、あっさり許可が下りたというわけだ。


 思っていた以上に、一人暮らしは最高だった。

 誰に気を遣うこともなく、好きな時間に寝て、好きなものを食べて、好きなことをする。誰にも文句を言われない自由度の高い生活がそこにはあった。


 ただ――先ほど言った通り、学費も生活費も全部自分で稼がなければならない。


 そこで始めたのが、フードデリバリー『ユーバーミーツ』のアルバイトだった。


 この仕事はアプリで依頼を受け取り、注文された料理を取りに行って届けるだけ。働く時間は自分で決められるし、自転車さえあればOK。俺みたいな高校生にもうってつけだ。


 既に入学から二週間が過ぎた放課後。

 この日も俺はデリバリーのバイトに一人励んでいた。


「あ、きた……二千円!? 高すぎだろ!」


 アプリを確認すると、目を疑うような高額報酬の注文が飛び込んできた。

 たまにこういうラッキー案件があるのだが、滅多に当たらない。


 インセンティブなどもあるため、一概には言えないが、店舗側は三十五%の手数料を支払っている。

 単純計算でそのお客は約六千円分の注文をしたということになる。


 俺は迷わず承諾ボタンを押し、指定された店――某有名ハンバーガーチェーンへと急いだ。


「こんにちはー! ユーバーミーツでーす!」


 カウンターでアプリを見せると、店員がすでに出来上がっていた商品を渡してくれた。

 ……いや、多すぎないか? 紙袋がいくつも並び、バッグに詰め込むだけで一苦労。

 だが高額報酬を思い出し、気合いで積み込み、自転車を漕ぎ出した。


 十数分後。

 到着したのは――街でもひときわ目を引く高層マンション。


「マジか……そりゃ報酬も二千円になるわけだ」


 縁のないような場所に圧倒されつつ、エントランスからエレベーターへ。

 指定された十五階の部屋に辿り着き、インターホンを押す。


「はーい」


 中から声がして、ガチャリ、とドアが開き――


「お、お待たせしました! ユーバーミーツです!」


 いつものように元気よく商品を手渡そうとした、その瞬間。


「……あ、相沢……?」

「……え?」


 なんと目の前に立っていたのは、俺のクラスメイトであり――学年一の美少女と噂される、雪代陽依ゆきしろひよりだったのだ。




——————


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フードデリバリーからはじまるラブコメです!

ちなみに日本では多くのデリバリーバイトが18歳以上という条件なので、本作のような高校一年生はできません。

その点はフィクションとしてお読みください!


毎日できる限り11時更新です!

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