第五部

 1 新しいアイデア



 2037年1月23日。

 カフェ「ラ・スフレ」。



      * * *

『「まあ,元気出せよ」。私はミシェルを励ましました。店員がイチゴと生クリームののったパンケーキを運んできます。「ほーら,ミシェルの好きなイチゴパンケーキだぞー」。彼にそう言っても,起きそうにありませんでした。テーブルに突っ伏して,「フランツ,俺はもうおしまいだ」とか嘆いていました。そうです。トイレット革命の陰謀論の話です。ミシェルの持論は,あえなくになってしまいました。「タイミングが悪かっただけだ。それに,トイレット革命に真因がないと決まったわけじゃないだろ。新しいアイデアを出せよ」。


『「そうよ!」。サングラスを掛けながら,颯爽と現れたのはリリアンでした。彼女は昼休憩のたびにここへやってきます。「探偵部は発足したばかりじゃない。なっさけないわね! あ,おばさん,わたしもこのパンケーキ欲しい」。そして私たちの間に,どかっと座って,「ねえ,ミシェル! 起きなさいよ!」。そしてサングラスを外して,「トイレット革命の裏組織,見つけてやったわよ」』

 ──私。新聞記者。ラ・ニュヴェレ新聞社。


『「なんだって!」。ミシェルは顔を上げてくれました。もう一人のお仲間(私のこと)も,興味津々という表情でした。わたしは,ふふんと笑って,「ヒントはこれ」とポケットからあるものを取り出しました』

 ──リリアン・ベレッタ。通信記者。BBF通信社。


『「スマートフォン?」。私たちは顔を見合わせました。「正確にはグーゴル先生なんだけど,わたし,昨日調べてみたのよ。『二人は一体』って格言があるじゃない。あれ,もともとはキリットス教の聖典ラ・ビブルの言葉らしいのよ」。よく聞くことわざの話です。


『人が結婚するとなったとき,まず引き合いに出されるのがこの格言「二人は一体」です。結婚の結びつきは強固なものでなければならないという堅実な教えであると同時に,結婚するのは男と女だけでなければならないという厳格さも併せ持っています。ある人たちは,この言葉を引用し,ジェンダー問題を一蹴してきました。その言葉の出所が,実はラ・ビブル?


『彼女はスマホを見せてきます。「ここよ,ほら。


 Et qu'il a delare:Cest pourquoi l'homme quittera son pere et samere pour sattacher a sa femme, et les deux ne feront plu qu'un? insi, ils ne sont plus deux; ils font un. Que l'homme ne separe donc pas ce que Dieu a uni.

(こう言われているからです。それゆえ男は自分の両親を離れ,愛する女性と結婚します。このようにして二人は一体となり,家族ができます。)


『「でしょ?」と。「つまり,トイレット革命を煽ってるのは,『教会』なのよ!」』(*)

 ──私。新聞記者。ラ・ニュヴェレ新聞社。




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(*) 「マリーの書」19章5節。


『わたしは喋り続けました。「いい? シャイエ大統領はバチカンのルカ13世と親交が深いわ。しょっちゅう非公式で会談してるみたいだし。だから,教会勢力がフランス共和国に圧力をかけてると考えても不思議じゃない。宗教とジェンダー。ジャーナリズム不変のテーマよ!」。


『すると,意外なことにミシェルのお仲間が感慨深そうにわたしに言いました。「リリアン氏の筋は完全に間違ってはいない。確かに,その方向性も考えられる」。「どういうことなんだ?」。ミシェルが質問します。


『彼はミシェルのパンケーキのイチゴをひょいとつまむと,説明を始めました。「いいか? フランス政府とキリットス教ってのは,イチゴとヘタみたいなもんだ。イチゴはヘタなしでは育たない。でも成長するとヘタよりも大きくなって,ヘタを覆い隠すんだ。


『今のフランス共和国は,キリットス教無しでは存在しえない。政治に必要な“養分”を与えるのは,この教会という勢力なんだ」。わたしは目を丸くしました。何この人。ただのお供かと思ってたのに,めちゃくちゃ頭いいじゃない(笑い)!』

 ──リリアン・ベレッタ。通信記者。BBF通信社。



『「だけど」。私はコーヒーを飲んでから彼女に釘を刺しました。「慎重な行動を心がけるように。ミシェルの件もあるし。軽率な行動はジャーナリスト生命を短くするだけだ」。「分かってるわよ!」彼女はプイとそっぽを向いてしまいました』

 ──私。新聞記者。ラ・ニュヴェレ新聞社。


『「はあ? バチカンに行きたい?」。次の日,わたしの上司は呆れていました。わたしが裏組織を暴くとか言ったのがまずかったのでしょうか。彼女は目を細めて申請書類を眺めます。やがて首を振られました。「リリアン,あなたの状況は知ってる。あなたがこの件で熱くなるのも無理ない。でも,教会について報道するなら,内容を選ばなきゃ。スキャンダルとかじゃないんでしょ?」。


『「でも,教会は性的弱者を侮っています! これは報じられるべきニュースじゃないんですか!」。そう言うと,彼女は眼鏡をはずし,だるそうに言いました。「明確な根拠があればね。この書類を見る限り,あなたは感情的に動きすぎてる。第一,政権は変わることがあるでしょう。当然教会とのコネもね」。卓上カレンダーを指さされ言われました。「忘れないでリリアン。大統領選挙まで,あと半月なのよ!」。


『上司の言葉を聞いて,ハッとしました。選挙という障壁があったのです。来月には,フランスのトップを決める大統領選挙が始まります。教会の影響力も絶対的なものじゃありませんでした。あー,わたしのバカバカ! 何で気づけなかったのよ! これじゃミシェルとの「春のローマでラブラブ大作戦」失敗じゃない(笑い)!


『「出直してきまーす」。わたしが背中を丸めて退散しようとすると,けたたましくベルが鳴りました。彼女は受話器を取り,短い返事を何度かすると,電話を切ります。「リリアン待って。ちょうどいいところだわ。急なんだけど,来月日本へ飛んでくれない?」。「ニホン?」。「あなた疲れてるのよ。恋が叶わないからってね,仕事に支障が出るようじゃ困るの。海外にでも行って,憂さ晴らしをしてきなさい。それに,このミステリーに裏があるなら,何かヒントが得られるかもしれないわよ」』

 ──リリアン・ベレッタ。通信記者。BBF通信社。


『「京都へ!?」僕は叫びました。リリアンから電話が掛かってきたのです。第一声は「カレンちゃんに会いに行ってくるわ」でした。聞けば,日本に仕事で行かなければならないということです。「一週間ほど会えないかも」と。僕は悩みました。どういうわけか,この結論が自然と出ました』

 ──ミシェル・ポアソン。新聞記者。ラ・ニュヴェレ新聞社。


『「単刀直入に訊く」。会議室のドアが閉じられると,ミシェルは私に迫ってきました。「来月の有給消化の予定は?」。一体何でしょう。彼は真剣な表情で私の予定を尋ねてきます。再来週までに有給を入れろとニルスに言われていました。また怒鳴られる前にどこかに入れないといけません。「特にない」と返答すると,彼は口角を上げ,「じゃあ,探偵部は全員京都に行けるな」と』

 ──私。新聞記者。ラ・ニュヴェレ新聞社。


『ピッ。わたしは携帯を切り,オフィスビルから夕陽を眺めました。正直ショックでした。黒幕がどこかにあると思っていたのに,それは国家でも教会でもなさそうなのです。原因を突き止められなければ,一体どうやって問題を解決するのでしょう。せっかくジャーナリストなのに,啓発的な情報を少しも発信できない。自分の無力さを痛感しました。


『それに加え,トイレット革命はますます拡大しています。収束するどころか,ジェンダー問題と治安問題という二つの社会問題を巻き込みながら,成長していっているのです。「もし,ここに三番目のモンスターが現われでもしたなら……」。間もなく大統領選挙です。政権の交代に騒乱はつきものです。悪寒が走りました。「でも,これで終わらせたりはしないわ!」。わたしは誓いました。「絶対原因を特定して,記事にして見せるんだから!」』

 ──リリアン・ベレッタ。通信記者。BBF通信社。

      * * *


 2 大統領選



 2037年2月。

 パリ。



 大統領ノルベール・シャイエがトイレ問題に行き詰まりを感じるようになって一年あまり。フランス国民は,彼に代わる新しい政治的リーダーに期待を寄せるようになっていた。華々しいフランス大統領選のスタートである。


 ピクトグラムに対する具体的な解決策を示せなかったシャイエの支持率が低迷したことを踏まえ,候補者たちは自身のマニフェストにトイレ問題を明記。全力でこの社会問題と取り組む構えを見せるのであった。


 トイレの行く末を決める選挙。その候補者のトイレ問題対策は,一体どのようなものなのだろうか。恐れを知らない4候補者のアイデアと勝負気質を見ていくことにしよう。


 ・アンドレ・ギュスターヴ・ベネトー(Andre Gustave Beneteau)候補

 ピクトグラムをなくすべきであると主張。彼の父親が有名俳優だったこともあり,マーク廃止を積極的に支持。「自由こそ最高のステージ」をモットーに『アンドレ改革』によって根深い偏見を克服しようとした。父親譲りの端正な容姿のためと思われるが,中年層の女性から一定の支持を得た。ただしスペイン・ショック対策が充分でなく,支持者からも「シャイエの二番煎じ」などと酷評された。


 ・クララ・ベルモンド(Clara Belmondo)候補

 ピクトグラムは差別と無縁であるとし,変更の必要はないと主張した。不況を脱することが優先で,資金を経済・治安対策により多く用いる構えであった。彼女は低所得者層から一定の支持を得た。特にピクトグラム改変に反対していたラ・メンズ・ド・ショコラティエール(菓子メーカー)の会長Y・ゴート氏は彼女を積極的に擁護した。彼女の構想は現実的だったが,「問題を先送りするだけ」との批判を浴びた。


 ・ラミーヌ・ミュンシュ(Lamine Munch)候補

 トイレに対する抜本的な見直しが必要であるとし,TOLと協力しつつ,トイレ環境と社会保障の一体改革を掲げた。彼の考えは理知的であったが,人権に対する配慮のない発言が目立ったため,「ラミーヌおべんちゃら」という表現がネットユーザーで使われはじめ,現在でも性的少数派に対する配慮のない発言を指して用いられることがある。彼は,ジェンダー問題に関心を示さない幅広い年齢層から一定の支持を得た。


 ・サミュエル・ブラール(Samuel Brard)候補

 ピクトグラムを変更し,人権に配慮しつつ経済の立て直しを宣言した。ブラールの着眼点は規制緩和からもたらされる観光収入や,それに関連する幾つかの歳入であった。彼の理論はバランスが取れていたが,経済へのイベントリスクが未知数であるとされ,一部の評論家から難詰された。彼はピクトグラム撤廃に賛成する多くの商業界から支持を受けた。


 この選挙に関心を向けていたのは,共和国民だけではなかった。主要先進国のニュースメディアは,「過去にないトイレ選挙」と我が国の大統領選をこぞって報道した。


 ・ABC(アメリカ合衆国)

 「トイレのマークは自由のマークになるのでしょうか」。人気女性キャスター,ミリア・シュートはニュースの冒頭でこのように述べ,フランス大統領選を好意的に報じた。特に米国では6月中,男性トップモデル アラン・シホンが,自身のブログの中で「ワンピースは着心地抜群。夏のトレンドはこれで決まり」と題し,高度な女装写真を掲載。若者たちの間で爆発的な人気となっていた。ニュースの終わりに彼女は,「米国に“夜明け”が訪れるのも,時間の問題です」との言葉を口にした。


 ・BBC(英国)

 その日に,英国では既に大規模な性差解放運動が起こっていた。BBCニュースは,「ロンドンに集結した1万人」というタイトルで,首都の解放運動を報道。やや興奮気味のレポーターはデモ隊を前に,「見てください! 世界は今,トイレと戦っているのです!」などと報じた。英国の運動は女性が中心となっており,男性用スーツを完璧に着こなした“女性紳士”らが話題になった。フランス人ユーチューパー「MMF」の動画「イギリスで発見! 可愛すぎる女性紳士!」は1.3億回を超す再生回数を叩きだした。


 ・NHK(日本)

 『おはよう・ニュースセブン!』では,「混迷するフランス大統領選。候補者の狙いとは?」という特別コーナーが設けられ,各候補者の違いをアキラ・イガケミ教授が解りやすく解説した。彼は,「ピクトグラムを維持すべき」と主張しているのはクララ・ベルモントだけであるが,彼女の支持率は決して低くないことを指摘し,大統領選は接戦になるとの見方を示した。コーナーの結びで彼は,「私たちの国では,トイレ騒動がほとんどありません。日本人は世界で一番素晴らしい国民です」などと述べた。


 ・MBC(ミスリス)

 経済難をなんとか打破したいミスリスは,フランスの大統領が変わることによる外交問題を取り上げた。ニュース番組に出演した経済評論家P・サエンタは,トイレがユーロに与える影響を懸念し,「世界経済の先行きは,トイレにかかっています!」などと熱弁をふるった。


     * * *

『これは過言ではありません。人権・治安・社会保障・外交問題・教育法などはいずれも,ピクトグラムと深い関係があります。人々がこの問題をどのように考え,とらえるかによって,我々の未来も決まるのです』

 ──アベル・ブロンダン。歴史学者。パンテオン・ソルボンヌ大学。


『道は2つです。ピクトグラムを存続させるか,廃止するかです。どちらを選んでもリスクが伴います。有権者はそれを完全に理解し,これからの世界を決めなければならないのです』

 ──エステル・ビザリア。歴史学者。ストラスブール大学。

     * * *


 では,有権者である当のフランス国民は,誰をトイレ問題のリーダーとしようと考えていたのだろうか。パリで取材をしてみた。


     * * *

『誰に票を入れるか? サミュエル・ブラールかな。全ての問題を扱ってるから。んー正直よくわからないけど,きっといい奴だよ,彼は』

 ──チワワを散歩させていた男性。


『そうですねー。クララ・ベルモンドさんがいいと思うわ。景気をよくしてもらわなきゃ』

 ──アイスクリーム屋の女性。


『見た? ねえねえ,見た? 彼最高じゃない。まさにプリンスって感じ。誰のことですって? アンドレに決まってるでしょ。他はぜーんぶ“ブー”じゃない!』

 ──商店街で買い物をしていた女性。


『良い人はいない。政治家だろう? 信頼できないヤツは昔から決まってる。医者と政治家だ』

 ──老人。


『批判もあるけどミュンシュかな。それにしても最近カフェが少なくなってる気がする。何でだ?』

 ──家族で買い物に来ていた男性。


『アンドレっ! アンドレっ!』

 ──女性。


『ベルモンドがいい。クララ・ベルモンド。割り切った政策に,政治家としての覚悟を感じる』

 ──男性。


『ガソリンが高い! 高すぎる! 最近どんどん高くなってる! 将来? そんなこと気にしていられるか!』

 ──男性。


『きゃー,アンドレ素敵! 集会にも行ったわ。高い鼻に切れ長の目。それに“イケボ”だし。目の保養よ。目の保養』

 ──女性。

     * * *


 取材の手ごたえでは,アンドレ氏が優勢のように思えた。


 ここで,フランス・テレビジョンが5,000人を対象に,RDD(Random Digit Dialing 乱数番号)方式の世論調査を行っているので少しばかり紹介したい。


 「どの候補者を支持するか」という問いに対し,最も多かったのが「アンドレ・ギュスターヴ・ベネトー」の32パーセント。続いて,「クララ・ベルモンド」25パーセント。「サミュエル・ブラール」20パーセント。「ラミーヌ・ミュンシュ」11パーセント,などであった。


 次に「候補者に何を期待するか」という問いがなされ,43パーセントが「トイレ問題」と回答している。続いて「スペイン・ショック対策」30パーセント。「治安問題」21パーセント,などであった。


 こうした世論が後押しし,アンドレ議員は優位に立ったのである。


     * * *

『アンドレが提唱したのは,トイレ問題の人道的な解決策でした。治安・外交・性差問題などは,国民の権利を優先することにより解決できるというのが彼の主張でした。社会のルールだけでなく,教育法を見直し,人の行動原理に訴えることを目指していたのです』

 ──テオフォール・ケクラン。歴史学者。ドゥニ・ディドロ大学。


『彼は人々から慕われていました。トイレ問題に対する彼の見方は寛容で,物分かりが良いように映ったことでしょう。そう考えると,決して不利な立場ではなかったはずです。このまま振り切って,彼が当選する可能性は充分にありました。もし,“モンスター”がそこにいなければ』

 ──エステル・ビザリア。歴史学者。ストラスブール大学。

     * * *


 3 モンスターの進撃



 2037年3月。

 パリ。外務庁舎。ブルボン宮殿前。



 決選投票まで2か月を切った時のことだった。それは,大統領官邸に向かう一台のリムジンから始まった。


     * * *

『イギリスから帰国した次の日でした。私は公用車で移動しながら,朝の閣議に備えて資料に目を通していました。すると携帯が鳴りました。「ルイ,こんな時間に何の用?」。第二秘書(Louis Chaynes)からでした。「ジャンヌ大臣! ユーロが大変です! 勢いが止まりません!」。水道からユーロ札でも噴き出してるのでしょうか。何のことか分からず,急いでパソコンを立ち上げ,為替レートのページを開きました』

 ──ジャンヌ・ド・ラランド。元外務大臣。


『携帯を握りながら必死で祈っていました。全て夢なのではとさえ思いました。モニターのチャートグラフの先は,どんどんゼロに近づいていきます。まるで自分が,巨大な肉食竜に立ち向かう非力なハンターのように感じられました』

 ──ルイ・シェーヌ。外務大臣第二秘書。


『「ユーロ安」です。ピクトグラムに揺れる欧州に危機感を抱いたアメリカ投資家の影響で,ユーロの売り注文が増え,ユーロは値下がりしていたのです。ピクトグラムが維持されても変更されても,イベントによる為替変動リスク(為替相場の変動によって発生する損失)は計り知れないという思惑が,ユーロを手放すよう人々を焚き付けました』

 ──クリスチャン・キュヴィリ。経済学者。パリ・ドフィーヌ大学。


『「ルイ! 関係省庁に連絡して! 今すぐトイレ問題についての議論をやめさせなきゃ!」。あの時は頭に血が上っていたのでしょう。フランスの外交に重い荷をくくり付けられたようでした。とにかく何か動かないと,世界が崩壊してしまいます!』

 ──ジャンヌ・ド・ラランド。元外務大臣。


『一旦走り出したモンスターは,もう止まりません。進撃の様をシュミレーション・プログラムに掛けて解析しました。モンスターの攻撃が数値になって表れ,予測行動が電子マップにプロットされました。折れ線グラフの先は,「あの国」でした。携帯をとり,大臣に連絡しました。「気を付けてください! 次の標的はミスリスです!」』

 ──ルイ・シェーヌ。外務大臣第二秘書。


『爆撃を受けたような気持ちでした。官邸に向かいながらニュースを見ていると,ミスリス共和国のガウス官房長官が映っていました。「これ以上ユーロ圏にとどまることはできない。ミスリスは近い将来,『ユーロを離脱』するでしょう」。最悪の事態でした』

 ──ジャンヌ・ド・ラランド。元外務大臣。


『トイレがヨーロッパやEU加盟国の経済に直接影響を与えるなど,誰が予想したでしようか。今や選挙は,単に人権や安全を争点すればよい場ではなくなりました。グローバルな経済的視点で物事を見なければならなくなったのです。こうしたユーロ危機は,今に始まったものではありません。しかし,トイレとマネーがこれほど密接に関連しているのであれば,避けて通ることはできなくなります』

 ──クリスチャン・キュヴィリ。経済学者。パリ・ドフィーヌ大学。


『AI(Artificial Intelligence 人工知能)関連設備の輸出で経済を潤していたミスリスにとって,それは大打撃でした。当時ミスリスは,フランスにつぎアメリカにGWWS(Global mechanism of water works system 管理化水道)機構を販売し,不況を脱する国家戦略でした(*)


『スペイン・ショックで疲弊させられ,ようやく経済が立ち直りつつあった中,トイレが圧し掛かってきたのです。ミスリスは痺れを切らし,大統領選の最中に「ユーロから離脱する」と宣言しました』

 ──アベル・ブロンダン。歴史学者。パンテオン・ソルボンヌ大学。



『もしこれが一過性のものでなければ,ヨーロッパ経済は終焉していたでしょう。祈っていると,徐々に折れ線グラフが上向きになってきて,どうにかその場を凌げたのだと悟りました』

 ──ルイ・シェーヌ。外務大臣第二秘書。



『官邸につくと,額には汗がびっしりとついていました。ハンカチで拭い,ふらふらしながら車を降り,建物に入ろうとしました。自分でも不思議でした。なぜか,今日の街並みを,この目に焼き付けておかないといけないと思えたのです。まるで長年連れ添ってきた友との別れを惜しむようでした。


『しかと見て,頷いて,向きを変えました。この世界には問題が多すぎる。平安な暮らしはいつ脅かされてもおかしくない。こぶしを作りました。「でも負けない」。自分は政治のプロフェッショナル外務大臣ジャンヌなんだと自分に言い聞かせました。これまで数々の外交をこなし,どんな敵にも勝利してきたのです。この度もそうできるはずです。そう思うと力が湧いてきて,勇んで官邸に入りました。「さあ,モンスター。このジャンヌ様に向かってらっしゃい!」』

 ──ジャンヌ・ド・ラランド。元外務大臣。

     * * *



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(*) 水道の安定的供給を可能にする管理システムで,「マルク・ソリューション・インターナショナル(Mark Solution International)」社製の人工知能を備えている。


 GWWSのシステムについては後程軽く扱われるが,以下のような専門書を紹介しておく。「GWWSでフランスはどう変わったのか」(ジュール・ダンドリー)。「世界の水問題。ウォータリング機構の導入」(M・カーン)。


 第3の社会問題,それは「ミスリスのEU離脱危機」であった。これはヨーロッパ全体を“火の車”にする可能性があった。一時ユーロはドルに対して92パーセントの安値となり,物価は上昇。官僚たちは日夜多忙な公務に追われることになった。


 ではなぜ,ミスリスのEU離脱はそれほど衝撃的な出来事だったのだろうか。トイレット革命の経済的影響を研究し続ける,フランス統計経済研究所所長,マルキ・ヌーヴェル(Marquis Nouvel)博士にインタビューすることができた。なお,インタビューしたのはミシェル・ポアソンである。


     * * *

 ミシェル:

 どうもこんにちは。今日はお忙しい中時間を取ってくださり,ありがとうございます。ラ・ニュヴェレ紙のミシェル・ポアソンです。2037年3月に,ミスリスがユーロ離脱を宣言したことについてお伺いします。トイレについて議論されていたのに,経済が危うくなるのはなぜか気になります。ミスリスは,実際にはユーロ圏から離脱していなかったのに,社会に大きな衝撃が走りました。なぜでしょうか。


 ヌーヴェル博士:

 それは,ミスリスが宣言通りユーロ圏から離脱するなら,ユーロ加盟国に取り返しのつかない経済的損失を与える可能性があったからです。この問題を理解するには,そもそもユーロ離脱が何を意味するのかを理解しなければなりません。ユーロはヨーロッパ全体に支配力のある通貨単位です。しかし,加盟国にはそれぞれ,ユーロ以前に用いていた貨幣があり,ユーロを離脱するなら,以前の貨幣に戻ります。


 例えば,21世紀初頭には「ギリシャ危機」がありましたが,それはギリシャがユーロ圏から離脱することで,ギリシャの通貨がドラクマに戻ることを意味していました。


 ミシェル:

 なるほど。「離脱」と言うと難しそうですが,要するに「貨幣が変わる」とイメージすれば良いのですね。それはなぜ警戒すべき出来事なのでしょうか。


 ヌーヴェル博士:

 それは,通貨の持つ特徴と深い関係があります。通貨は,他国の通貨と相対的な価値関係にあるのではなく,ピラミッドのような形をしています。例えばドラクマの価値は,ユーロに対して半分しかないので,もしギリシャがユーロから離脱するなら,ギリシャの負債は返済されなくなる可能性が出てきます。


 結果として銀行同士の貸付けの利子は下がり,倒産の危機に晒されるのです。ギリシャから欧州へ,欧州からアメリカへ,アメリカから世界へと,負の連鎖が炸裂していきます。これがギリシャ危機でした。


 同じように,ミスリスの通貨レラは,ユーロに対して3分の2の価値しかありません。ですから,ミスリスがユーロから離脱すると宣言したときに,多くの人はギリシャの二の舞になるのではないかと,恐れたのです。


 ミシェル:

 なるほど。通貨の“序列”が,ミスリスの借金返済を難しくさせるため,世界恐慌の危機にあったということなのですね。


 先ほど,ピラミッドという表現を使われましたね。興味深いです。ずっと気になっているんですが,どうして通貨には絶対的な格付けが必要なのでしょうか。加盟国では1ユーロ10ドルにして,アメリカでは1ドルを10ユーロにしてもよさそうに感じます。これはなぜいけないのでしょうか。


 ヌーヴェル博士:

 面白い考え方ですね。もしそのようなシステムにするなら,商取引そのものが破綻します。例えばですが,悪い人はこんな風に考えるかもしれません。


 加盟国内で9ユーロの商品を10ユーロで買い,お釣りを米国に持っていきます。それをドルに交換し10ドルにします。米国でも買い物をし,1ドルのお釣りをもらいます。もう解りましたね。その人は,欧州に帰り,1ドルを10ユーロに交換するので,無限に買い物ができてしまうのです。


 こうした商取引の矛盾を防ぐためにも,通貨には万国共通の序列を設けなければなりません。自国の都合に合わせて通貨価値を操作したり変更したりするなら,経済そのものが立ちゆきません。


 ミシェル:

 そういうことだったんですか。「美少女戦士のんたん」で言うところの,ミラクルムーンビームの連続打ちみたいなものでしょうかね。あれは身体に負荷があるので,してはいけないんですよ。胸のペンダント「パワーゲージ」を見ながら打たないと。


 ヌーヴェル博士:

 はっ?


 ミシェル:

 いえ,こっちの話です。


 とにかく,取引が破綻するのでピラミッド型をしているという説明は解りやすいですね。では本題に戻りますが,ミスリス危機によって,フランスはどのような影響を受けましたか?


 ヌーヴェル博士:

 多くの影響を受けることになりました。例えば,食料品が高騰しました。コーヒー・カカオ豆・バナナなどです。とりわけコーヒー豆の値段が上がったことは,人々の生活スタイルを変えることになりました。


 ただでさえカフェにトイレがないのに,そのうえコーヒーの値段まで上がる。外食を減らす人々が多くなったので,カフェの中には店を閉じたり,コーヒーを置かなくなったりする所もありました。


 さらに,ゴム・綿花の価格が上がりました。とりわけロシアからの石油・石炭は,250パーセントも価格が上昇し,フランス国民は,車を手放したり,旅行を控えたりするようになりました。当然観光産業への影響は莫大で,フランス旅行者は前年度に比べ,40万人ほど減り,10億1千万ユーロの経済的損失を被ることになりました。


 ミシェル:

 ミスリス危機は,思った以上に広範囲に影響を及ぼしていたのですね。解決策はありましたか?

 

 ヌーヴェル博士:

 ミスリスがユーロ圏から離れないように説得する必要がありました。


 EUの主席交渉官カール・バッハマン(Carl Bachman)は,ミスリスのユーロ離脱担当官と7日にわたって会談したようです。また,フランスのトイレ論争を一時的にストップさせる必要があると感じたEUの上層部もいました。


 ミシェル:

 なるほど,見えない場所でいろいろな協議がなされていたのですね。これらの解決策が成功したのかはさておき,この問題にEUが関係するようになったのは驚きでした。ムッシュ・ヌーヴェル,今日はインタビューに応じてくださりありがとうございました。難しい内容でしたが,スムーズに理解することができました。

     * * *


 ありがとうミシェル。そして,スケジュールの合間を縫ってご協力いただいたヌーヴェル博士にも感謝を表明したい。


 さて,このインタビューからも分かるように,ユーロ安はフランスの生活を大きく変えた。


 ・カフェの閉店

 ・ガソリンの高騰

 ・観光客の減少


 などはいずれも,ピクトグラムの是非をめぐるフランス大統領選の副産物と言えよう。


 では,これらミスリス危機は,選挙そのものに,何か影響を及ぼしたのだろうか。言わずもがな!


 4 アンドレ落選!



 2037年4月20日。

 

 ラ・ニュヴェレ紙の第一面には,「アンドレ敗北!」のタイトルが躍った。第一回選挙の結果が出たのである。下記が得票率である。


 ・クララ・ベルモンド         39パーセント

 ・サミュエル・ブラール        22パーセント

 ・アンドレ・ギュスターヴ・ベネトー  20パーセント

 ・ラミーヌ・ミュンシュ        19パーセント


 皆の予想に反し,アンドレは決選投票に残ることができなかった。ミスリス危機は,大統領選に予想以上の影響を与えていたのだ。アンドレを支持していたと主張する女性はこう語る。


     * * *

『さすがに理想だけでは食べていけません。彼は生活に困っていないでしょうが,私たちは違います。以前では我が子を学校に送った後,帰りにカフェをして,その後ショッピングセンターに寄って雑貨を見たりしました。昼からは趣味の園芸をしながら,近所の人とおしゃべりするのが日課でした。週一でフィットネス・クラブにも行っていました。


『でも今はそんなことできません。時間もなければお金もない。主人は仕事量を増やし夜勤をしています。それでもやっていけないので,私も仕事を始めました。みんなバラバラです。一緒に食事をする時間もありません。おまけにカードの借金に,毎月の家のローンがあります。


『今週車が故障して,修理に2か月分のお給料が必要だと分かりました。2か月ですよ! 「どうして節約できないんだ! トマトなんてそんなに買わなくてもいいだろう!」。主人に言い返しました。「私のせいなの? トマト料理が食べたいって言ったのはあなたじゃない!」 トマトの投げ合いも絶えません。何とかしないと!』

 ──3児の母親。

     * * *


 ミスリス危機により,経済対策の不充分なアンドレではなく,不況からの脱却を目指すベルモンド氏と,トイレ問題と経済問題の妥協点を探ったブラールに心が移ったのである。


     * * *

『選挙における現実とでも言いましょうか。彼は結局残ることができなかったのです。しかもトップのベルモントと比べ,1,000万票以上も伸びなかった。ミスリス危機の大きさを物語るものと言えます』

 ──エステル・ビザリア。歴史学者。ストラスブール大学。

     * * *


 アンドレは後に,党大会で支持者らを前に「みんなを自由にできなかった。すべては私の力不足が原因だ」などと述べ,敗北を認めた。参加した支持者らは,「アンドレが敗北しても,自由は敗北しない!」といった弾幕を広げ,彼の働きを称賛した。アンドレはスピーチの最後に「フランスの新しい未来はすぐそこです! ブラールに神の祝福を! ありがとう!」と叫び,熱狂的なアンドレ・コールの中,ステージを降りた。


 その彼,2位通過のサミュエル・ブラールは,集まった2万人の支持者らを前に,「戦いは終わっていない」などと選挙の士気を高めた。彼は話の佳境で「我々は勝ち取っていかなければならない。選挙の結果ではない。ピクトグラムのない将来をだ!」と叫び,参加者は総立ちし歓声を浴びせた。


 そんな中,1位通過のクララ・ベルモントは,奇異なイベントを開催。「ピクトグラムにとって記念すべき日」などと銘打ち,トイレのマークを粋に描写し直したカードを支持者らに配った。彼女はスピーチで,自分の勝利とピクトグラムを掛け,「トイレサインは勝利の象徴,そしてフランスの誇るべき文明の象徴です!」などと力説し,視覚記号の必要性を改めて主張。差別的とされるマークのイメージアップを図り,決選投票を有利に進めたい考えであった。


 スピーチの終盤,背後のスクリーンには巨大なピクトグラムが表示され,「勝利を約束します!」という彼女の宣言と共に無数の花火が打ち上げられ,参加者は万雷の拍手で応じた。


     * * *

『「どうやらベルモントが1位のようね」とルイに言いました。執務室でのことです。ニュースで党大会の様子を放送していました。彼は,パソコンを打ちながら,「ジャンヌ大臣はピクトグラム賛成派なんですか?」と訊いてきました。私は紅茶を少し飲んでから,「別にどっちだっていいわよ。フランスがまともなら」と言い返しました。彼にはいつも本心で語ります。


『彼は頷いて,「じゃあ,僕もどっちでもいいです。経済がまともなら」と。そして加えて「あとジャンヌ大臣がまともなら」とジョークを飛ばしてきました。私は噴き出して,「それって私が凶暴な人間ってこと?」と訊きました。ルイはデスクに飾っているカラフルな馬のフィギュアを手に取って,「モンスターほどじゃないですけどね」とか言うんです。まったく。ルイが「ガオー」とか真似ても,威圧感がないわ』

 ──ジャンヌ・ド・ラランド。元外務大臣。


『大臣は,珍しくフィギュアを質問してきました。「それ何なの?」。「美少女戦士のんたんのキャラです」と答えました。「知らないんですか? フランス・テレビジョンで夕方5時からやってるアニメです。ラノベにもなってます」。まったく大臣は政治以外のことに疎いんですから。以前だって「のんたん」のポスターを見て「そんな幼女がいいのかー!」とか僕をパンチしてきましたもん。ただのアニメなのに(笑い)』

 ──ルイ・シェーヌ。外務大臣第二秘書。



『「黙示録の四騎士」をイメージして作画されているとのことでした。4匹の怪物が街を壊して,そのあとヒーロー「のんたん」がやってきて怪物にお仕置きするそうです。怪物にはそれぞれ役割があり,弓矢で脅迫して思い通りにさせる・暴力で当たり散らして治安を乱す・天秤におまじないをかけて社会のバランスを崩すなどだそうです。


『「あら,今の世界にぴったりじゃない」と言うと,「でも現実の“モンスター”は3匹です」とルイは言い,「ピクトグラム反対テロ・性的攻撃・そしてミスリス危機」と指で数えました。「じゃあ4匹目のモンスターは何をするのかしら」と訊くと,彼は手に持っていた青い馬を私に見せて言いました。「病原菌ウイルスで街をめちゃくちゃにします」』

 ──ジャンヌ・ド・ラランド。元外務大臣。


『大臣は静まりました。やがて手を叩き,「雑談はおしまい。活動を始めましょう」とコートを着ました。ジャンヌ大臣は僕に書類を渡して「明日までに」と。「出かけられるんですか」と尋ねると「大統領に会ってミスリス危機の現状を報告するわ」と言ってきました。そして合言葉です。「この日に祝福をさよなら!」』

 ──ルイ・シェーヌ。外務大臣第二秘書。


『外に出ました。人々が路上で「ピクトグラム反対」とか「安全な世界を」とデモをしているのが見えました。そのまま公用車の方に行くと,物陰からぬっと現れたんです。2人の男が。


『最初は市民かと思いましたが,黒のサングラスに黒のスーツを着ていたので,そうではないと悟りました。一人の方は私の顔を見ると,手元の通信機に向かって何かモゴモゴとしゃべっていました。


『「ジャンヌ外務大臣ですね」と質問されたので,答える代わりに「何かご用?」と睨み返しました。「我々に同行してもらいたい」ともう一人が威圧するような口調で私に言います。「私をゆすっても何も出ないわよ」。車の方に行こうにも道を塞がれているので困ったことです。一体どこの特務員なのよ』

 ──ジャンヌ・ド・ラランド。元外務大臣。


『大臣が出て行ったので,含み笑いをして,イヤホンしながらアニメの続きを見ました。気づけなくて,ホントすみません』

 ──ルイ・シェーヌ。外務大臣第二秘書。


『私が「脅しには屈さない」とはっきり言ったので,彼らは「では仕方ない。実力行使です」と武術の構えを見せました。強いんでしょうね。「我々を通過できた者はいません」と豪語していました。引くに引けないので,とりあえず彼らに合わせました。


『変な掛け声と一緒に,彼らは手と足で攻撃してきます。スローモーションの映像を見ているようでした。ゆっくりと拳がやってくるので,それを掌で受け止め,蹴り上げられた足を前腕で受け止めました。再生速度(?)が戻ってきたので,その場で跳ね,手刀をお見舞いしてやりました。着地と同時に,彼らは倒れてしまいました。「あら,ごめんなさい。私の方が強くって(笑い)」』

 ──ジャンヌ・ド・ラランド。元外務大臣。


『──まあ,気付いていても,加勢しませんでしたけどね。政界の人たちはみんな強いんですよ。いろんな目に遭うから。でもジャンヌ大臣だけは別です。アレは強すぎます(笑い)』

 ──ルイ・シェーヌ。外務大臣第二秘書。


『車で移動しながらルイに連絡を入れておきました。「はい,こちらルイです」と聞こえたので,「気をつけなさい。何者かが私たちを狙ってるわよ」と言うと遮られ,「ただいま電話に出ることができません。メッセージのある方はピーという音の後で……」。頷いて携帯をしまいました。「まったくこんな時に,いい根性してるじゃない」とだけ呟いておきました』

 ──ジャンヌ・ド・ラランド。元外務大臣。

     * * *


 いよいよ謎の組織も動き始めたようである。彼らは何者なのか。そしてこちらの戦いも見逃せない。1位通過のクララ・ベルモント 対 2位サミュエル・ブラール。フランス選挙の決選投票は間もなくスタートする。

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