第5話 二人きりの結婚式


「君がお嫁に来てくれたってことは周知してあるけど、急なことだったから、準備が間に合わなくてね。花がぜんぜん咲いていないんだ。まだ作業が終わっていないし、もしかしたら庭師が隠れられずに鉢合わせちゃうかも知れないけど、許してあげてね。僕の采配のせいだから。まあ、もし君が、不出来な使用人を鞭で打ちたいって言うのなら別に止めないけど」

「やりたくないのでやりません。実を言いますと、実家では使用人が少なかったというのもあり、普段から隠れず作業をして貰う方針でしたので」

 きちんとした、家格の高い家では使用人は一部を除いて主人たちに存在を悟らせないよう姿を隠すことがよしとされているが、私の実家はアットホームにも程がある家風であったので、メイドもコックも庭師も隠れたりなどはしなかった。

 なので、そもそも使用人を鞭で打つという発想がピンと来ない。

 横領など不正をしたのならそういうこともあるかも知れないが、幸いにもおかしな人間を雇い入れたことはなかったので。

「……なるほど。確かにそれ、能率が良いね。どうせうちには来客なんて来ないし、導入して……いや、やめておこう。君には僕以外の男と会ってほしくない。とりあえず、女性使用人に対してだけ制限を撤廃しようかな」

「ええ……? アルバン様、私は実家への支援をお願いしている立場ですから、普通に考えて、その、不義など出来る訳もないと思うのですが」

 もしも私のこの立場で、色恋だけを理由に浮気などをするのなら、それはよっぽどの馬鹿だ。

 没落した実家のことを慮って、持参金も要らないし、魔力がないことも承知の上でお嫁に来てください。なんならこちらで実家の援助もしますよ、というまさしく破格の条件。既に我が故郷たるグリンマー子爵家は末代までかかっても返しきれないほどの大恩を受けている。

 これを裏切るとなると、それは最早、外道と称して差し支えないだろう。

「ああ、ツェツィーリア。君は本当に真面目な女性なんだね。夫がこんなに醜くても、不正をするつもりがない。世の中の女性が全部、君のようだったら良かったのに……。」

 何やら、女性関係で思うところがあるらしい。

 会話の端々から滲んでいるが、アルバンは女嫌いの傾向があるような気がする。

 ここは理由を聞くべきなのだろうが、なんだか高位貴族のとんでもないスキャンダルが飛び出してきそうで怖くて聞けない。

「私は普通です。ついでに教えて頂きたいのですが、アルバン様は……外に女性がいらっしゃったりなどは、」

「は!? 居ない! 居る訳がない! 誰かに何か聞いたのっ!?」

「いえ、噂などは聞いておりませんが、念のためです。もし、私より前にそのような立場の女性が居るのなら、何かと弁えるべきかと思っただけです」

「僕は君ひとすじだよ、ツェツィーリア」

 ぎゅっ、とやや強く手を握られてしまう。

 しまった。これはいけない。

「でも、ハァ……ツェツィーリア、まさか君が、こんなにも、僕との結婚を前向きに捉えてくれているなんてっ……! う、嬉しいよっ……!」

「人生を共にするのですから、当然かと。ですが、経緯が経緯ですし、どちらかというと、アルバン様が嫌になったら離縁されてしまうのはこちらですし。率直に言うと、それなりに媚びる構えではありますね」

「ええっ、そんっ、そんな、い、いいのっ……? いやっ、だ、駄目だよ。君みたいな美人が、簡単にそんなこと言っちゃ……!」

 逃げを打って距離を取ろうとするのは余り効果がなかったし、このアルバンという人は妙に寛容なのも分かったので、包み隠さぬ本心を伝えつつ、こちらから近寄ってみることにした。

 しかしながら、ハァハァ更に興奮しているので、駄目だったかも知れない。

 考えを改めよう。

 彼は私が何をしようが興奮するのだ、と諦めた方が早い。

「美人、ではありませんよ。残念ながら」

 黒髪黒目は悪目立ちするが、それを差し引いたところで、私は美人とは言えない顔立ちだ。特徴といえば、目つきの鋭い切れ長の三白眼で、冷淡でキツい印象の顔立ち。けれどこれといって華がある訳でもなく、ただただ、ひたすら黒い服と髪の女として認識されるだけの存在である。

「いいや、君は美人だよ。確かに、周囲からチヤホヤされるような感じの派手さはないかも知れないけど、百年前でも、千年後でも美人と言われるような顔立ちだよ。それに……そもそもの話なんだけどね、本当に不細工だと渾名とか付かないんだよ。黒百合姫なんて呼ばれてる時点で、君のことを悪く言おうとする相手からすらも、黒髪以外、容姿について付けられる因縁がなかったってことだからね……?」

「う、うわぁ」

 アルバンがどんどろりんと暗く禍々しいオーラを放ち始めてしまった。

 この人、これまで酷いことをどれだけ言われてきたんだろう。

「アルバン様は、誰かに何か、酷いことを言われたりしたのですか?」

「まあね。言われない方がおかしいよ」

「確かに、アルバン様には欠点らしい欠点が無いように見えるので、そこしか突いていけないのかも知れませんね」

「んっ、ふふ。ありがとう。君は優しいね」

 喋っていたら、庭園に着いた。

 屋敷の規模からすると狭いが、庭を囲う古い石垣の向こうがすぐ森になっているため、実際よりも広く見える。

 石垣は私の胸くらいの高さであり、人が乗り越えられない程ではない。馬なら飛び越えるのは簡単な高さに見える。かなり古い時代に造られたもののようで、石の中には文字が刻まれているものもあるが、摩耗したり、苔に覆われているので判別は出来ない。

「この石垣は古いものなんだけど、魔力を流し込むと、上部から槍状の柵が飛び出す仕掛けになっているんだ。ここは屋敷側が少し高台になっていて、全体を見下ろせる。タイミングを見て敵を迎撃するための設備なんだ」

「そうなんですね! あっ、あの、今、見せて貰うことは、可能ですか……?」

「いいよ。でも、何年も動かしていないし、状態が良くないかも」

 言いながら、アルバンは屋敷側の、一段高くなっている場所の隅に置かれた、騎士の石像の前に立って、手を触れた。

 よく見ると、石像の馬の瞳には水晶球が嵌め込まれており、像の内部になんらかの魔道工学的な仕掛けがあることがわかる。

「いくよ」

 言うなり、ガシャン! と派手な音がして、石垣の上から真っ直ぐに、何本もの鉄の槍が等間隔に突き出した。槍衾のように連なるそれらは、確かに錆びて、今にも折れそうなものも混じってはいたが、想像以上に役割を果たしていた。

「あー、やっぱりボロかったね。もうずっと動かしていないから」

 アルバンが手を離すと、少しの間を置いてまた、ガション、と音を立てて槍が戻っていった。

 た、た、た、楽し過ぎる……!

 魔力で動くという話だったので、まだ新しい設備なのかなと考えていたのだが、想像以上に古かった。魔道工学が普及し始めて間もない頃に造られた、当時としては最新の設備だろう。起動と動力こそ魔力によるものだが、恐らくあの様子から見るに、内部構造はからくり仕掛けに近いものだ。

 今の技術で作るのであれば、魔力を供給したその先で、各種破壊力に優れた魔法を射出したり、結界を張るようなものを作る筈だ。

 襲撃の中で最も恐ろしいのが、拠点である屋敷を破壊することに優れた火魔法や風魔法なので、そちらの魔法攻撃を無効化したり、術者を排除するのがスタンダードな対策手段とされているが、逆に物理攻撃への対策に関しては決め手に欠けるという欠点がある。

 これは、古いものだが、戦術的には有効かも知れない。

 意表を突くことが出来るので、上手く操作すれば敵の数を減らせるほか、単純に、ただ鉄と石の柵を設けて術者の侵入を阻むことが出来るのは大きい。

 大いなる矛盾になるが、魔力に優れているのは大半が貴族。距離が離れていても強力な魔法を行使可能なのは一握りしか居ない。だが、襲撃をかけるのは大半が下位貴族か、庶民の出。近寄らなくては強い魔法は放てないし、仮に放ったとしても鉄の柵であれば、よっぽど高威力の魔法でない限り効果を堰き止めてしまうだろう。

「気に入った?」

「はい。とても、素晴らしいです」

「ふふっ。それは良かった。君はこういうのが好きなんじゃないかと思ったんだ。今度、メンテナンスしておくよ」

「あの、もしかして、他にもこういった仕掛けがあるのでしょうか?」

「うん。脱出用の隠し通路と、それとは別に身を隠すための隠し部屋なんかもあるよ。当主だけに伝えられる設備だし、また後で、隠し部屋の方は改めて教えるね」

「隠し通路は教えて頂けないんですか?」

「……君が僕のことを嫌いになって、逃げるかも知れないから、子供ができるまでは教えない」

「猜疑心が強い。えっ、あの、私は家のこともありますし、逃げることも裏切ることもするつもりはないのですが」

「ごめん。まだ、君が僕に対してこんなに好意的に接してくれることに対する警戒心が拭えなくて」

「根が深い問題なんですね……。」

 やはり、女性というものに対する警戒心が強い。

 残念ながら私には性転換が出来ないため、やはり本人が話したくなったタイミングで、過去に何があったのかを聞き出すしかないだろう。

 発言からして、彼自身は私のことを信用したいし、なるべくなら良好な関係を構築したいと考えている。既に努力してはいるのだろうが、それでも合ったばかりの相手に心を預けることなど、不可能だろう。

 私も無理だ。

「……そろそろ、風が出てきたね。中へ戻ろうか」

 促されて、邸内に戻る。

 お互いに無言のまま、辺境伯夫人の部屋の前まで、改めてエスコートして貰った。

「じゃあ、この後、着替えて準備が終わったら、家令が呼びに来るから。礼拝堂で挙式をして、そのあとはまた着替えて夕食って流れだよ」

 スケジュールの確認をしてくれる。優しい。

 手紙で前もって、到着した日の段取りは教えて貰っていたし、遣いだという人物からも念押しで確認して貰っていた。

 既に頭に入っているが、取りこぼしがないよう、当主自らが再度の確認をしてくれるあたり、アルバンは有能な領主でもあるのだろうと伺える。

「侍女やメイドは連れて来ていないのかな? 着替え、大丈夫? うちのメイドでも良ければ用意するけど」

「問題ないです。恥ずかしながら、貧乏子爵家でして。昔から一人で着替えをしていますから」

「そっか。でも、人の手が必要なら、ベルを鳴らしてね」

「わかりました。ありがとうございます。では、後ほど」

 一旦別れて、豪華で広い部屋の中、一人でゴソゴソと婚礼衣装に着替える。

 とはいっても、急すぎる話であったし、ついこの間まで、子爵家にしては裕福な方ではあるものの、一生独身貴族であることがほぼ確定ルートであった身の上だ。

 婚礼衣装など間に合う訳がなく、かつ、私は体質から黒い服しか着られないので、結論としては持っている中で一番良いドレスを婚礼衣装と言い張ることしか出来ないのである。

 満十五歳になった貴族の子女は、王宮の夜会に招かれる。そこで、臣民として国王陛下に拝謁するのが慣習であり、皆、一着はそれ用の良い服を持っている。何故なら、いつ何時何が起きるかわからず、特定危険魔獣の大量発生や、天災の類が発生した場合、或いは戦争に突入した際には王宮へと招聘されることがあり得るからだ。

 起こっていることの規模にもよるが、基本的にはいつ何時呼ばれても良いようにしてくもの、となっている。

 十五の時に仕立てたものしか持っておらずそのまま放置しているというのは、つまり、その家が取り返しのつかないほど落ちぶれているという指標にもなる。

 実際、歴史書においてはつんつるてんの服で王宮に上がった地方貴族の話が面白おかしく記載されていたりもする。

 そういうわけで、私にも一着だけ、国王陛下の前に出ても許される仕立てのドレスがある。

 全て絹で出来ており、首元から胸元までは体にぴったりと添うようなレース。本来、素肌を出すべきところをレースで覆っており、そこから続くデコルテ部分はスクエア。肩や腕、腰にかけてはシンプルなラインではあるものの、スカート部分はたっぷりの布を使っており、その下には更にもう一枚、僅かに丈の長いレースが重ねてあり、歩くたびに少しだけ覗くようになっている。袖や裾には光沢のある黒い糸で細かい刺繍が刺してあり、ごく小粒ではあるが黒い真珠も付いているという代物である。

 これとセットとなるのが、私の持つ数々の黒ヴェールの中でも、最も美しい一枚で、薔薇窓のような幾何学模様をベースに組み合わせた細かく複雑な模様の手編みのレースであり、普段使い用よりもやや長い。

 これに更にレースの手袋を合わせて、一応は化粧を直して準備は完了だ。

 長年、一人でドレスを脱ぎ着してきたおかげで、私の肩関節は柔らかい。背中側にあるやたらと数の多いくるみボタンを留めるなど、造作もないことである。

 準備が整って少ししたあたりで、ドアをノックする音があった。

 予定通り、案内役の家令が呼びに来ていた。ここに来た時に出迎えてくれた、あの気配の薄い老人である。

 案内されるままに進み、屋敷の隅にある、礼拝堂の前に行くと、台の上に白百合のブーケが用意されていた。

 持ち方がよく分からないが、ひとまず、付けられたリボンが見苦しく絡まないようにだけ気を付ける。

 扉が開き、中へと進む。

 アルバンが既に待っていて、私の方に振り向いた。

 式典だからだろう。猫背になりがちな背をピンと伸ばしていると、改めて身長の高さに驚くと同時に、分厚さもさることながら、それでも不恰好にならないほど手足が長いのだと気が付いた。

 やはり顔の半分は髪で隠してはいたが、今度は整えたのだろう。絡まっているところもなかったし、綺麗に結われていた。

 服装は先程と変わらなかったが、辺境伯にとっての正装は軍服であるため、彼には着替える必要がないから当然だ。待たせてしまって申し訳ない。

 しかし、司祭の姿が見えないのはどういうことだろう。

 到着が遅れているのだろうか?

「必要がないから、司祭は呼ばなかったんだ」

 言われて、やっと気が付いた。

 白銀の髪の持ち主は、神話の中でも神の子と呼ばれる。強い魔力を持って生まれてくるのだから、神々の寵愛を一身に受けているため、生まれながらにして司祭と同等であると見做される。

 つまり、結婚の誓いにおいても、彼自身が司祭を兼ねることが可能となるので、極論、証人としての司祭を呼ばなくても儀式が成功するのだ。

 それにしても、形だけでも呼ばないというのは、流石に異例過ぎる。

 参列者が居ないというのも、前代未聞だろう。辺境伯ともなれば、王家との関係性にもよるが、国王陛下や王妃殿下を招いて行われてもおかしくないのだから。

 まあ、伝統や形式の全てを無視して黒いドレスを着て結婚式に臨んでいる私が言えたことではないが。

 いや、しかしーーアルバンが政争の火種となることを恐れているために、可能な限り目立たずにいることを目標にしているのはわかるが、これは流石に度を越している。私の側から親族が来ないのは仕方がないが、アルバンの側からも誰も来ないというのは、また別な理由だろう。恐らく、彼は信頼できる身内が近くに居ない。それなら辻褄が合う。

「……ツェツィーリア」

 つらつらとそんなことを考えていたら、いつの間にか神に捧げるための口上が終わっていたらしい。

 名前を呼ばれてハッとした。

「誓いのキスを」

 アルバンは2メートル以上もある大男だが、私は165センチなので、かなりの身長差がある。貴族女性としては比較的高い方ではあるものの、ほとんど真上を向かなくてはならない。

 ヴェールに手を伸ばされて、怯えから、思わず肩が揺れた。

 直接、唇を合わせなくてはならない。

 素肌で他人と触れ合うことは、私にとっては痛みや不快感と強く結び付いてしまっている。絶対にやらなくてはならないし、避けられないのだが、痛いことは怖い。失礼だと分かっていても、反射的に体が竦んでしまう。

「君の、特異体質のことは知っているよ。だから、ヴェール越しにしよう」

 言うなり、ヴェール越しに彼の唇が私の唇に触れた。不思議な弾力があって、驚いているうちにそれは終わった。

 される時、大きな手が私の頬に添えられていて……手と、顔が離れていった後になってからも、まだ私は起きた物事が受け止められず、ポカンとしていた。

 余りにもスマートなキスだった。

 呆けていると、彼は私の顔をまじまじと見た。

「は、ツェ、ツェツィーリアと、ツェツィーリアとっ……! キス、したっ……!」

 ハァハァし始めてしまった。

 台無しである。

 だが一方で、よくこの人ここまで息を荒げずにやれたな? とも思うので、仕事はきっちりこなすタイプではあるらしい。やることをやってからおかしくなるのであれば、まだ良い方なのだろうが……しかし、やはり余りにも言動が変態過ぎる。

「すっ、凄く、綺麗だよ。女神様みたいだ……。こっ、これで、僕たちは公的に夫婦と認められることになるねっ……!」

「そうですね」

「あああああっ! ツェツィーリア、君はもう、僕のものだよっ! 僕だけの、僕のツェツィーリア!」

「そうですね」

 勢いが凄過ぎる。

 余りにもテンションが高くて付いていけない。

 早々に振り落とされてしまったので、虚無の目で「そうですね」を繰り返すことしか出来ない。

 白銀の王子となれば国の宝だというのに、一体どうしてこんな風になるまで放置してしまったのか。これは国家の損失ではないのか。

 両方の腕をガッツリと大きな手で掴まれてしまっていし、感動に打ち震えているらしいアルバンの荒い吐息がヴェールさえも貫通してくるような気がする。

 しかし一方で、触れられていようが至近距離で興奮されていようが体調が悪くなっていないので、逆にここまでテンションが高いというのに、魔力制御は完璧にこなしているあたり、本当に訳がわからない。仕事は出来るしとにかく他に類を見ないほど器用であることは確かなのだが、ギャップが酷い。

 私は周囲が盛り上がっていても、共に盛り上がれずに常にスンッ……となってしまうタイプなので、疑問しか沸いてこない。

 しかし、特に拒否せずされるがままにボーッとしていたところ、アルバンは満足したのか、ご機嫌にエヘエヘと例の不気味にしか見えない顔で笑っている。

 幸せなら良かったです。はい。

「えっ、と……僕のこと、本当に、嫌じゃないの?」

「今のところは、嫌いではないですね」

「じゃあ、あの、ハグ、してもいい、かな?」

「少しだけなら」

 改めて、私が逃げる様子がないと見ると、微妙に首を傾げて今更な質問を照れ照れしながらするのはちょっと、あざといのではないだろうか?

 駄目だ。

 もう既に私、この人のことがだいぶ好きだな?

「じゃ、じゃあ……!」

 膝を折り曲げて、遠慮がちに、ふんわり優しく抱き締められる。特に不快感はないし、今は息が荒いという訳でもないしで、この人の中で何が起こっているのかまるでわからないが、触れ合っても不快ではないので良かったな、と思った。


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