ドアが区切るのは空間だけじゃない……

どの鍵も合わなくなってしまったね手のひらにドアノブの冷たさ

これが私的には一番好きです。ドアは部屋と廊下みたいに空間を区切るだけでなく、人間同士の心の距離や、過去と現在の時間の流れの間にすら、隔たりを作る仕切りとなりうる……みたいな。ただ壁とドアで異なるのは鍵穴に適合する鍵さえあればいつでも覗きに行けるということ。逆に言えば、何かの拍子に適合する鍵がなくなってしまえば、もうそのドアの向こうを見にいくことはできなくなってしまう。それが、回しても開かないドアノブの冷たさなんじゃないでしょうか。私の妄想ですけど。