没落途上の家に産まれた白き娘・八雲 紗雪。
薄氷を張って即座に治癒してみせた様子を見られて以降、彼女は陽の差さない座敷牢に幽閉され、父・十蔵によって「実験」の対象となる。
「ついに、ククッ……! かの雪女が蘇る……!」
その目的は、古き怪異の力を手中に収めることだった。
脳裏に浮かぶのは母の警告、そして明確に迫る命の危機。
(このままじゃ私、死ぬ……?)
――否、まだ憧れは胸の中に残っている。
突然現れた着流し姿の木刀男・三吉野 風雅は気障な振る舞いで紗雪を救ったのだ。
風雅は視線を逃がしながら、告げた。
「その……試しに、俺の嫁になってくれ?」
「…………はぇ」
ということで、紗雪には匿う交換条件として、嫁という役割が与えられた。
だが、十蔵は野望のために2人を追い詰める。
「逃すものか。お前は一族再興の礎とならねばならんのだ……」
2人の恋模様は天をも焦がす!
愛と陰謀が絡み合う、温かくも切ない和風ファンタジー。ここに開幕!!