第2話

第二幕:5年後の再会、YouTube戦国武将の誕生


シーン3:現代のリビング

美咲、健太と朝食を食べながら、ふとベランダを見る。

美咲: 「そういえば、5年前にベランダに隠した涼介君、どうなったかな〜。もしかして、ベランダ系YouTuberになってたりしてね〜。あはは!」

健太: 「は?涼介?誰?何言ってんの?最近流行りのアニメのキャラ?」

美咲: 「あ、何でもない!親戚、親戚!パンおかわりいる?」

美咲、こっそりベランダの異次元を覗く。立派な武士になった涼介を発見し、ニヤリ。

美咲: 「あら〜!出世してるじゃない!しかもなんか撮影してる?まさか、あんなヒョロヒョロが…」


シーン4:戦国時代のベランダ側

武士になった涼介(今は「涼之介」と名乗る)が、部下を率いて現れる。その手には、竹で作った巨大な自撮り棒のような、槍のような武器が。

涼之介: 「我が軍、今日も大勝利なり!この『戦国YouTube戦法』のおかげでな!」

部下A: 「涼之介様の『敵の注意を引きつけて一人語りし、その隙に背後から攻撃』という戦法は天才的にございます!特に『今日の飯テロ』動画で敵兵が気を取られた隙は最高でした!」

涼之介: 「フフフ…これも現代で培った、『視聴者の注意を引きつけるサムネ作り』と『コメント欄炎上対策』の知識あってこそよ。戦場でも『いいね!』を集めることが肝要なのじゃ」

スマホ(戦国時代でも電波が届く謎の強電界地帯)を見ながら。

涼之介: 「おお!『戦国武将涼之介の戦場実況チャンネル』、ついに登録者数100万人突破じゃ!」

部下B: 「さすがでございます!『今日のバトルロワイヤル〜マジか⁈織田軍との死闘編〜』は1000万再生を超えておりますな!殿の『死にかけドッキリ』がウケたようで!」

涼之介: 「毎日投稿を5年間続けた甲斐があったわい!『戦場飯作ってみた』『武器レビュー』『戦国ファッションチェック』…全てがコンテンツじゃ!炎上狙いの『敵将の城に凸してみた』もバズったのう!」

突然、美咲の声が聞こえる。

美咲: 「涼介く〜ん♪涼之介さ〜ん♪久しぶりにベランダ開けたよ〜!」

涼之介: 「!!!あの、悪魔のような声は…美咲殿か…!しかし今更何用じゃ?わしはもうチャンネル登録者数100万人の大物YouTuberなのじゃぞ?まさか、今度は『コラボドッキリ』じゃあるまいな?」


シーン5:現代への帰還、そして健太の大誤解

美咲、涼之介を現代に呼び戻す。

涼之介: 「美咲殿…いや、美咲ちゃん?久しぶりでござる。ずいぶん現代の匂いがするのう…柔軟剤か?」

美咲: 「わあ〜!渋くてカッコよくなってる!まるで時代劇スターみたい!それに、なんかスマホいっぱい持ってるけど?もしかして充電器もいっぱいいらない?」

涼之介: (複数のスマホを駆使し、まるでタコのよう)「これは『同時配信用機材』でござる。YouTube、TikTok、Instagram、Twitter、全てのSNSで戦国コンテンツを発信しているのじゃ!5年間、毎日3本投稿を続けた結果、総フォロワー数500万人でござる!」

健太が帰宅。

健太: 「ただいま〜…って、誰この人?なんか、すごく迫力あるけど…って、何そのスマホの数?YouTuberさん?僕もスマホ2台持ちなんですけど、格が違う…」

美咲: 「あ、え〜っと…遠い親戚で、YouTuberをやってる涼之介さんよ!すごく有名なの!最近、テレビにも出てるらしいよ!」

健太: (目をキラキラさせて)「え?もしかして『戦国武将涼之介』?あの伝説のYouTuber?僕、大ファンなんです!『戦場で料理してみた』シリーズ、全部見てます!特に鹿肉の解体がすごくて!」

涼之介: 「おお!視聴者殿でございますか!ありがたきこと!コメント欄でいつも応援してくれておるな?」

健太: 「もちろん!毎回『いいね』も押してます!サインください!あ、一緒に写真も!美咲の親戚って言ってましたけど、こんな有名な方が親戚だなんて知らなかった!今度コラボとかできませんか!?」

美咲、複雑な表情。

美咲: (小声で)「え?健太も知ってるの?そんなに有名になったの?てか、私がベランダに隠したからでしょ!?」

涼之介: (得意げに)「企業案件だけで月収2000万円でござる!『戦国グルメ』『戦国ファッション』『戦国ライフハック』全てがビジネスじゃ!先日、甲冑メーカーと年間契約したのじゃ!」

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