湿気密室事件

クライングフリーマン

湿気という内敵

 キャーッ!!

 台所に行ってみると、三角コーナーが少しずれていて、糸くずみたいな赤いのが見えた。

「変なのがいる。動いてる!気持ち悪い。」

 最初は、野菜サラダの『残飯』かと思って、三角コーナーのネットを替え、事なきを得た、と思い込んでいた。

「ああ。これか。」納得したのは、インターネットで調べた後。

 これは、諸説あるが、赤いのは『ロドトルラ』という酵母菌の一種である可能性が高いようだ。で、対処法を試してみた。

「菌?細菌???」

 台所用漂白剤を塗布し、1時間ほど置く。そして、通常使っているものでないスポンジで擦りながら、洗い落とす。ゴム手袋を忘れずに。

 それが、去年のこと。

 今年は大丈夫かと思いきや。やはり出現。他のものの場合もあるかも知れないが、去年「学習した通り、行った。翌日、排水口入口に『パイプクリーナー』洗剤を流し込んだ。

 原因は、「湿気」。

 一昨年まで発生しなかったのは、近年の日本の気候のせいなのか、流し台が老朽化したせいなのか?

 先月、シンクの壁に赤いのがあって、こちらは『カビ』。クレンザーと金属たわしで落ちた。

 キャーッ!!

 もう去年か一昨年のことだったと思う。衣類をしまっていた押し入れのハンガースペースに吊した「古い背広」がやられた。

「カビ」だ。防虫剤は効いている?切れていた。

 もう袖を通すこともないから、処分した。

 先日、非定期的に断捨離を手伝っている妹が来た時に、「押し入れの隙間」開けて風入れないからよ。」と言われた。

 曲がりなりにも主婦だ。正しい。

 よく考えると、25年位前だったか、30年位前だったか、浴室の天井が「カビった」ことがある。その時も、キャーッ!!

 その時は、水性ペイントを塗って「封じ込め」た。

 床や浴槽周りも整備した。天井塗りは苦心した。

 専用ブラシは、届かない部分もあるので、危険を覚悟で脚立に乗って処理した。

 今とは「別人」の私だから出来たことだ。

 遺品整理、断捨離を始めた時、靴箱もやられていた。

 母の靴は、上履き下履き全滅。恥ずかしがりの母は、隙間を空けることを拒んだからだ。

 一緒に生活している時、外出を嫌がり、施設に入ったら、用済みになった靴だ。

 下駄箱の引き戸も、襖同様、隙間を空けておくのが必須だと分かったのは近年だ。

 気づくのが遅い。

 先の浴室の場合も、「戸締まり」の為「密室」になっていることが多かった。

 ペイント塗りをした後は、入浴後。小さな窓だが、隙間を空けるのが習慣になったお陰で、大きな「カビ被害」はない。

 但し、その頃だったか、その窓の格子と玄関格子が白カビにやられた。

 こちらは、油性ペイントを塗った。

 一人暮らしと言えど、「家のメンテナンス・セキュリティ」には、気を配らなくてはならない。

 風呂窓格子のペイント塗った時は、庭に防草防犯砂利を敷き閉めてある。

 だから、厳重に窓を施錠する必要も無かったな、と思った時は、『後の祭り』だった。

 塀の木は伐採して、外から丸見えだから、気になったのだ。

 案外、木が窓の前にあれば、白カビ被害は無かったのかもしれない。

 白カビは、「アルミニウム」に付着する。

 普通は、老朽化すると、「付け替え工事」をするそうだ。

 暑くなったら、暑さ対策も必要だが、「熱」で解けたり剥がれたりするガムテープ対策も必要だ。

「老体に鞭打つ」日々は続く。

 闘いの相手は、「湿気」「熱」「虫」「世間」「身内」。

 参考になれば、幸いです。


 ―完―

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湿気密室事件 クライングフリーマン @dansan01

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