轟さんの悩み事的なアレ ③
「おぉー!
時間は18時、能天気な大声がダンジョンセンターに響いた。
なので、自分は速攻で
「痛ってーっ!何すんだよっ!」
「おい、オッサン、このダンジョンセンター内の噂話は一体どういうことだ?」
一発殴ったらあとは冷静に話しかける。
「え?あ、あぁ、う、噂ねぇ、あぁ、うん。そ、そうだ。そ、その件は……」
だんだんオッサンの声の声が小さくなるにつれて、心なしか身体も小さくなっていってるように錯覚してしまう。オッサン自身、マズイって事はわかってるようだ。
ダンジョンセンターだと他の探索者の目があるのでオッサンと場所を移すために近くのファーストフード店へ行く。
自分は無難にコーヒーを頼んだのだが、オッサンは何を考えているのかバーガーのセット、しかも夜の倍セットを頼みやがった。
オッサン、オマエ、コレから16歳の子供に叱られるんだぞ?
嘘でもそこはコーヒーだけにして、しおらしい態度を見せておけよ。
「じゃー、オッサン、今回自分とオッサンが勝負した後の事を教えてくれ。嘘や誤魔化しなんかは許さないし、ありのままを教えてくれればそれでいい」
16歳の子供に冷たい目で見られて、自分の立場を思い出したのか、縮こまるオッサン。でも、口はモゴモゴ動いている。
しばらく、オッサンの咀嚼が続いたが、話はだいたい聞けたと思う。
自分を負かす新人が出てきたのがついつい嬉しくて、パーティーメンバーに喋ったこと。
そのメンバーが他でも喋った事。
あの場にいた他の新人のうちの誰かも他の探索者に喋った事。
知らない間にネットでも広まっていたこと。
毎日ダンジョンに潜る新人というのがより興味を引いているらしい。
あらかたこんな感じで話は聞けたけど、いろんな人間が関わりすぎて、誰が悪いとか犯人探し自体が意味をなさないほどだ。
しばらく、様子見かな?
昨日の探索者みたいに勝負しろって人が増えてくるのかな?やだなぁ……
少し思考の海に沈んでいるとオッサンが能天気に話しかけてくる。
「そんでよぉ、少し手伝って欲しい事があんだよぉ」
「ん?手伝うとは?」
「オメェ、第四ダンジョンの事は知ってっか?」
「四番目に見つかったダンジョンですよね?」
「いや、そうだけど、第四の『羅刹』の事は?」
「『鉄壁』のことも昨日知ったばかりですから、当然知りません」
「え?おまえ、俺の事知らなかったの?俺、知ってるもんだと思ってたのに」
「知らない人とか、年上の方には最初は敬意を持って対応するに決まってるじゃないですか?馬鹿なんですか?」
「なんか、言葉の節々に敬意が感じられない」
オッサンは泣いた。
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