二一 ちゃん探索者デビュー的なアレ④

 〜side 二一にか


 そして実際にダンジョンへ潜ったんだけど、なんか一二三ひふみが凄かった。

 私がそれまでネットで事前情報を調べたり、クラスの詳しそうな人に聞いてた事よりももっと濃い事を教えてくれた。

 どんな情報を探しても魔法を使える人なんて見つからなかったのに、一二三ひふみは手品のように魔法を実際に使ってみせた。

 むしろ、手品って言ってくれた方が良かったのに。


 しかも、それを私に教えてくれるなんて、私に甘過ぎると思った。


 幼い頃に憧れた魔法少女に私がなれるなんて……!


 しかし、魔力?を感じるって所でいきなり躓いた。わかんないよー!


 癇癪を起こす私を宥めて空かして一二三ひふみは辛抱強く教えてくれる。

 分かってる。出来ない不甲斐ない自分が許せないだけだから。


 何とか魔力を感じる事が出来たのは次の日の日曜日だった。


 途中でダンジョンセンター受付のお姉さんとちょっと険悪な雰囲気になったような気がしたけど、私は入った臨時収入にウハウハで気にもならなかった。


 帰りに二人でストバに入って呪文のような名前の甘いコーヒを飲んで帰った。



 それからの学校は授業中でも魔力を身体の中で回す練習をしながら授業を受けたり、夜には一二三ひふみの家で、魔力の使い方、身体強化の仕方、魔力を眼に回せば視力が良くなり、頭に回せば記憶力や頭の回転が速くなるなど、いろいろと教わった。


 ただ、私は魔力に属性を与えて外に出す事が致命的に向いてないらしく、一二三ひふみに言わせると前衛タイプだそうだ。


 ー目指せっ!撲殺天使!ー


 一二三ひふみが笑顔で言って来た時には本気で身体強化をして殴りかかったんだけど、一二三ひふみには軽くいなされてしまった。


 普段から身体強化をしたりして、魔力を常に使うようにしておくと魔力が身体に馴染み、魔力の容量が増えて、魔力操作が早くなるらしいので、普段から一二三ひふみの言うとおりにしている。



 私としては順調と言える高校生活なんだけど、最近、クラスの雰囲気がなんかおかしい。

 ギスギスしてるっていうか、ピリピリしてるっていうか……


 周りの雰囲気に鈍感な私でも流石に察してしまう出来事が起こった。


 それは下校時間のこと、前を歩くクラスメイトの頭上に水の入ったバケツが落ちて来たからだ。

 上を見るとニヤニヤしているクラスメイトの女子。

 当たりどころが悪ければ大変なことになるって言うのに、そこまで頭が回らないんだうか?

 私は身体強化を使って、落ちてくるバケツに飛び蹴りをした。

 バケツはクラスメイトの頭上1m上でひしゃげながら5mくらい先まで飛んで行った。

 少しだけ水に濡れてしまったが、問題ないだろう。すぐさま上に向かって叫ぶ。


「上にいる奴っ!危ないでしょっ!頭にでも当たったら濡れるだけじゃ済まないんだよっ!」


 窓から顔を出していたクラスメイトの顔が歪んで私を睨みつけていた。

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