二一 ちゃん探索者デビュー的なアレ②

二一にか、これからオマエに教える事は自分がダンジョンで気付いたこと、発見したこと、それらを更に自分なりに理解しやすいようにまとめた事だ。

出来ればこの技術はあまり吹聴してほしくないし、他の奴に教えたりするつもりも無い。

オマエが自分の身を守る為に、自分の大事なものを守る時の一助になればと思ってオマエに伝えようと思う」


「ん?どうしたの?一二三ひふみ、そんな真面目な顔をして?


それほどのことなの?」


 最初はいつもの二一にかだったが、自分の雰囲気が真面目モードなのに気が付き、正面に向き合ってくれる。オマエのそういう所、大好きだぞ。本人には言わねーけど。


「そうだな。

この技術を他で使っている奴を見たことがない。

あえて隠している可能性は否定できないが、無闇矢鱈に披露する事じゃないって事だ」


「そ、そうなんだ」


「一応、先に言っておくぞ?これから言うことはファンタジーな事だけど、現実の事だからな」


「ん?」


「まずは、この世の全てのものには魔力って奴がある」


「んん??」


「いや、マジな話だから。

いいか、人間の場合はヘソの下に意識を向けて魔力を感じる事から始めるんだ。

それで、魔力を感じられたら、それを全身に回して身体強化を行える。

その魔力を外に放出する時に属性を付けてやれば魔法が使える。

分かりやすく言うとファイヤーボールとかそんなのだ」


「急に胡散臭くなってきた」


 魔力の話を始めると案の定、二一にかは何とも言えない厨二病患者を見る目を向けてきた。


 なので、実技としてその場で身体強化をして見せたり、実際に魔法をぶっ放したりしてやったら、二一にかの目が日曜朝のアニメを観る子供のようになっていた。


一二三ひふみ!私は?私は何をすればいいの?」


「焦ンなっ!まずは魔力を感じる所からだっ!」


「はいっ!」


 こうして、二一にかに魔力感知をさせている間に自分はスライムを倒したり、休憩している二一にかにスライムを効率よく倒す方法を教えたりして18時で探索を終了した。



 ダンジョンセンターで戦利品の査定をしてると、いつものお姉さんがボソリと呟いた。


「あら?今日は魔石が少なめなんですね?やっぱり小娘を連れているといつもの稼ぎには程遠いですね」


 少し、カチンと来たが、


「えぇ、彼女は自分の大事な家族ですから、数ヶ月でも先輩である自分の観てきたこと感じた事を教えてやりたいので、効率よりも先にそちらを優先しました」


「そ、そうですか。ご家族様とは知らずに失礼しました」


 ちなみに、今日の稼ぎは六千円だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る