ポーション的なアレ⑩

 そして、見たまんま若い自分なら暴力で脅かせば思い通りに動くんじゃないかと考えたそうだ。

 しかし、そんな企みをお兄さんがいち早く気付いて止めようとしたが、それに激昂した沸点の低い男と揉み合っているうちに殺してしまったそうだ。

 後には引けなくなった男たちは最悪自分を殺すつもりでことに及んだと。




 あ、わかった。コイツらバカだ。

 考えが飛躍しすぎてなんでそうなるかな?ってところが多すぎて理解するのを諦めるくらいにはバカだ。


 自分がポーションを持っているとして、ポーションは使ったらなくなる。

 なのに自分がまだポーションを持っていると思っている。

 なんで使ったポーションが補充されてる思い込んでいるんだ?

 実際、自分で作ったポーションだから、自分で使った分は補充するけども。


 あれ?


 まぁ、いいや。


 自分の感情がスンとスイッチを切ったみたいに冷えるのを感じる。


「まぁ、いいや、オマエら死んどけ」


 男たち目掛けて魔法を放つ。致死性の高い魔法じゃなくジワジワといたぶるように。


「ギャァぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」


 野太い男の悲鳴が響いても気にしない。

 近くに人がいないのは索敵で確認済み。モンスターは寄ってくるかな?


「あ、そうそう、これね、本当にポーションなんだよ」


 先ほど放り投げたペットボトルの中身を上から男たちにかけてあげる。

 飲んでもOK、かけてもOKだからね。


「え……あ……治ってる……?」


 呆然とする男たちに笑顔で告げてやる。


「じゃー、おかわり行ってみようか?」




「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」




 痛めつけてはポーションで治し、痛めつけては魔法で治してみたりと普段の探索では出来ないような魔法を使ってみたりと、ちょっと前世の感覚を思い出しながら男たちの心をボキボキに折っていく。2度とバカなことができないようにね。真人間になるんだよ?




 ただ一人、沸点の低い男は無駄にガッツがあるみたいでなかなか折れなかった。

 他の男たちはごめんなさいを繰り返すマシーンのようになっているってのに。



「テメェ!覚えてやがれっ!絶対復讐してやる!オマエの親、兄弟、女、全て調べて同じ目に遭わしてやるっ!」


 その言葉で自分の中でキレてしまった。

 親と言われて思い浮かべたのは、前世の両親ではなく、自動車事故で亡くなった今世の両親とお世話になりまくっているにのまえさんの顔が浮かんできた。


「なんだ?ビビったのかっ?!もう遅ぇよ!俺ぁ絶対にやり返してやるからなっ!」


 相変わらず芋虫のように地べたに這い回りながら一丁前に啖呵を切っている男を魔法の炎で瞬時に燃やす。

 ついでに口封じも兼ねて他の男も燃やす。

 強力な火力で骨も残らず、嫌な匂いもしないくらいに念入りにこんがりと。





 やっぱ、家族とか人の大事なものを壊そうとしちゃダメだよね。

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