ポーション的なアレ⑨

「俺たちがオマエに聞きたいのは、アイツを助けた方法と、もしもポーションを使ったのならば、どうやって手に入れたかだ。また手に入るツテがあるならば俺らも一枚噛ませろってところだな」


 男たちは自分らが圧倒的有利に立っていると思っているのだろう。

 ニヤけた顔でそんな事を言ってきた。

 まぁ、実際、人数も1対5だしね。


 少しだけ考えてカバンから500mlのペットボトルを放り投げた。



「なんだ?これ?」


「ポーション」






「舐めてんのかっ!ゴラァぁぁぁ!!」


 男たちのうち、沸点の低いキレやすい男が剣を抜いて切り掛かってくる。

 本当に沸点低いな。



「バインドx5」



「うがっ!」「う、動けねぇ!」「なんだこれ?!」「オマエラっ!落ち着け!」「ヒィッ!」


 とりあえず魔法で動きを封じておいた。テンプレのようなセリフ頂きました。ありがとうございます。誰にお礼を言ってんだ?



「まぁ、落ち着いてお話ししましょうよ?」


 一歩ずつゆっくりと男たちへと距離を詰めていく。



「テメェ!何しやがった?!」



「こんなダンジョンが出現するようなファンタジーな世界で魔法っていまだに発見されてないですよね?なんででしょうね?」


「て、テメェ、何言ってやがる?」


 男たちの中でリーダーっぽい男が汗を一筋垂らしながらボソリと呟く。

 未知の恐怖、小僧だと思ってたガキが得体の知れない事をしてきたのだ。

 アイツの頭の中はグルグルと無駄な考えでいっぱいだろう。


「魔法ってあると思いますか?」


 向かってきた沸点の低い男にロックバレット、小石の弾丸を飛ばす。「グアっ!」とか言いながら男はその場に転ぶ。右のスネに命中。骨が折れただろう。


 途端に男たちは沈黙する。

 コイツはヤバイ。自分達は関わっちゃいけない奴に手を出したのではないか?と思い始める。多分。


「ところで、お兄さんを殺ったのは誰?」


 自分の言葉で4人の男たちの視線が一人の男に集まる。沸点の低い男だ。うん、何となくそんな気はしてた。


「なんで、お兄さんを殺ったの?」


 言えば助けてくれるのか?俺は反対したんだ!などと今更どうでもいい事を騒ぎ出したので、もう一発魔法を沸点の低い男に喰らわせる。

 途端に男たちは喋る、喋るそれはアメリカのスタンドアップコメディーのように。




 お兄さんを2層で見捨てた男たちは少々後味の悪いまま、協会に報告もせずに自分達で隠蔽を企んだ。

 しかし後日、協会でピンピンしているお兄さんを見て問いただしたそうだ。

 しかし、お兄さんもあんな目に合わせた奴らと真面目に会話する気もなく、すぐに話を終わらせたそうだ。

 そして、男たちのうち一人が『ポーションなら治るんじゃないか?』なんて言い出した。

 ポーションはダンジョンの奥深く、深い階層でドロップすると言う情報が出回っている。

 ポーションの値段はゆうに億を超える。

 

 一番最近のオークションで10億円で落札されたそうだ。

 お兄さんにそんな金はないのは同じ大学の男たちならすぐに分かることだ。

 ならばどうやって手に入れた?そんな時に自分にお礼を言っているお兄さんを見かけたらしく、自分がなんらかの伝手で手に入れたポーションを価値のわからないまま使ったんじゃないか?と思ったそうだ。


 価値のわからないままってのはあってる。ポーションってそんな値段だったんだ?

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