ポーション的なアレ③

 今日もダンジョンへと向かう。

 聞いた話だと普通の探索者はダンジョンへ潜った次の日はダンジョンへと潜らずに、補給や休息日に充てるらしい。

 身体が資本な探索者。ちょっとしたことで死に直結するので当然ちゃ当然だと納得するが、自分の場合は身体の疲れも無く、補給も途中のコンビニで昼食と水を買うぐらいなので特に休む必要性が感じられない。


 ダンジョンセンターで受付を済ませて、受付のお姉さんに心配されながらもダンジョンアタック開始。


 昨日と同じように1階層を回る。

 索敵に引っかかるスライムをしばき回してズンズン進む。

 雑草のような薬草を採取する事も忘れない。

 スライムの数が多い時が面倒なので魔法で横着をしたりする。

 多分、スライムを倒す時間よりも一々屈んでちっちゃな魔石を拾ってる時間の方がトータルで見て長いんじゃないだろうか?薬草の採取は除外する。


 昨日と同じように昼食と休憩を挟みつつ18時にはダンジョンアタックは終了して、受付で今日の戦利品を会計してもらう。昨日と同じお姉さんが驚きながら査定してくれる。なんだかお姉さんの眼が将来有望な探索者を見つけてあわよくば深い関係になって将来養って欲しそうな眼をしていたので、笑顔でフェードアウトした。

 前世でもああいう輩に捕まると碌でもない目に遭わされるんだ。知ってるんだ。

 前世で自分も執着された。なので、下手に刺激せずに距離を置くが吉ってやつだ。


〜side ダンジョンセンター受付のお姉さん〜


 昨日の少年が今日も来た。別に来るのは悪くないのだが、連日ダンジョンへ潜る探索者は少数だが確かに居る。しかし、初心者は初の探索でへとへとになって大多数は次の日もダウンしているのに、少年はケロッとしているように見える。


 はっ!もしかして私に会いに来たとか?


 私の引き留めも虚しく少年はクールにダンジョンへと入っていった。

 そんな素っ気ない態度も妙に素敵に思えてしまう私は重症かもしれないわ。



 夕方になり少年はやはりケロリというか飄々というか自然体で近所を散歩してきましたという風に帰ってきた。

 そして査定では昨日と同じくらいのスライムを倒してきたようだ。

 パーティーを組むわけでもなく、ソロでこれだけのスライムを倒せるってことは、この少年は何かモンスターの位置がわかる特技か嗅覚を持っているのかしら?

 探索者に自ら持つスキルのことを尋ねるのは御法度とされているので、何も聞きはしないけど、ここまであからさまだとおおよその推測はできてしまう。

 初日にスライムを大量に狩れたことで調子に乗って2層へ向かうなんて事もせずに、安全マージンをとって昨日と同じスライムを狩る慎重さも高評価だ。


 はっ!もしかして彼は私との結婚資金を貯めるために頑張っているのでは?

 私に心配をさせないために安全マージンをとってスライムを、数をこなす事によってお金を稼ごうとしているのでは?

 そして私を養ってくれようとしているんだっ!

 なんて、健気で良い子っ!



 とか考えている間に少年は笑顔でフェードアウトしていった。



 あー、恋がしたい。

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