ポーション的なアレ

ポーション的なアレ①

 さて、今日からダンジョンの探索を始める。そんな自分を祝福するような天気だ。


 大雨だけど。


 傘を刺してバス停まで行き、バスに乗って駅に向かう。

 電車で3駅のところに一番近いダンジョンがある。

 日本では5つのダンジョンが確認されていて、目の前にあるのは通称第三ダンジョンと呼ばれている。3番目に発見されたので第三ダンジョンだそうだ。


 ダンジョンセンターに入り、受付を済ませて、いざダンジョンアタック。


 事前に収集した情報では第一層ではスライムが出現する。

 第三ダンジョンの一層は洞窟タイプ。他では迷宮タイプや、森林、草原、岩場と前世と同じくバラエティ豊富なラインナップとなっている。


 洞窟の中はうっすらと明るい程度で気を付けないとモンスターの奇襲を受けて怪我を負う探索者が毎月数十人いるらしい。気を抜きすぎだろ?


 スライムはハッキリ言ってザコだが、危険度が低いわけでもない。

 強力な酸を吐き出すので、それに当たれば武器や防具は溶かされるし、皮膚にあたれば大火傷を負う。上から落ちてくる場合もあるし、それが顔に当たろうものなら窒息死する危険もある。ただし、酸は強力だが、溶かすスピードは早く無いため、すぐに対応すれば事故の危険は減る。大事なのはパニックにならない事。冷静に対応すれば危険度はぐっと下がるってことだ。


 自分はゆっくりと一層を見て歩き、所々に生えている雑草のような薬草を採取したり、たまに出てくるスライムを倒したりしながら歩みを進める。


 今の所、回復ポーションは深い階層のモンスターからドロップするくらいしか入手手段がないらしいが、低級の回復ポーションならこの薬草と魔力のこもった水を調合すれば作れる。


 魔石からエネルギーを抽出できる技術はあるのに、こんな簡単な調合が知られないことに何だか歪さを感じるが、自分が今考えても答えなんて出ないので早々に切り替え探索を続行する。


 昼頃にサンドイッチと水を腹に入れて小休止を入れて、午後からまた探索を続ける。第三ダンジョンのマップは現在攻略されている階層までは建物の売店で売ってはいるのだが、別段急いでいるわけでもないので、自分でマッピングしながら、自分のペースで探索していこうと思っている。

 幸い、前世でもマッピングはやっていたので、薬草を採取した場所を書き込みながら進んでいる。

 今世では紙やペンがそこまで高価ではないことも嬉しいところだ。

 たっぷりと時間を使って探索と採取、マッピングを終えて建物を出たら時計は十八時を回っていた。


 軽く伸びをして、家路へと向かう。

 トラブルもなく、平和な1日だった。

 今日は家に帰ってから今世で初めての調合をしてみよう。

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