暗君への忠義は報われるときが来るのか?
- ★★★ Excellent!!!
歴史・戦記もの大得意の四谷軒さんの最新作です。
「士は己を知る者のために死す」と言います。武士に限らず、戦乱の世に生きる男は、これと決めた君主に巡り合ったならば、命を賭して尽くす、ということです。
しかし、隋の世の最後の皇帝、煬帝は遊興の限りを尽くし、戦場のことなど顧みず、酒と女にうつつを抜かすばかり。当然、兵力や兵糧の補充も滞りがちです。そんな煬帝でも、誠心誠意尽くす、大将軍張須陀。寡兵ながらも、二将軍の羅士信と秦叔宝をフル活用し、なんとか踏みとどまります。
それでも、煬帝は張須陀に報いることなく、羅士信と秦叔宝は不満を募らせていきます。
そして、張須陀がついに死した後、二人は。。
隋の末期、唐の始期に活躍した武将たちの物語。組織のトップの素養とはなにか、また、忠義を貫くことの意味を考えさせられる良作でした。
歴史小説好きの方は、是非どうぞ。