ジャンク

@koukoukusannn

第1話 深夜10時

夜が来た。

僕の人生が狂ったのは、その時だった。


人通りの絶えた遊歩道、雨上がりの土の匂い。

黒ずんだカセットテープが、落ちていた。


壊れていた。それは一目で分かった。


でも、ただのジャンクじゃない。

血がついていたんだ。乾きかけた赤。


背筋が凍った。


……カチ。

背後で、何かが鳴った。


そっと後ろを振り返ると──


人影が見えた。


ここらでは有名だ。

今に始まったことではない。

誰も話したがらないだけで、別に珍しくはない。


でも今日は違った。


僕は吸い込まれるように近づいた。

何かに吸われるように。


近づくと、人影は見えなくなった。


僕の目には、焼き付いて離れなかった。


あれは、目で見たというより──

目を通して、何かが僕を見ていた。


考えてるうちに、

何を見たのか分からなくなってしまった……。


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