ジャンク

社会に居場所を見つけられなかった高卒フリーター・天野ユウト。
ある日偶然、都市の裏側でうごめく“怪異”に巻き込まれた彼は、あるバイトに誘われる。

仕事内容は、「情報の浄化」。
テレビ番組、歌、記憶、歴史──失われ、忘れられた“情報”はやがて怪異となり、人の心に取り憑く。

ユウトに仕事を教えるのは、無口でどこか人間離れした女性・御高崎 蔡（みたかさき・さい）。
彼女は昔の時代から変わらぬ姿で存在し続けているという。

都市の片隅に溜まる情報の残滓（ざんし）。
消された声、語られなかった物語。

ユウトは、何の肩書も持たないまま、それらと向き合う。

――これは、誰にも読まれなかった記録を“救う”ための、静かな戦い。