IL TRENO PASSA PER TUTTI
千千
Incontrare
俺の名は、『
狙った獲物は逃さない。
今日も、俺の銃口が火を噴いた。
悪いな。
仕事なんでな。
恨むなら、
空の上に言ってくれ。
“
ふう。
ウイスキーのロックを傾けながら紫の煙をくゆらせると、張りつめていた気が和らいでくる。つかの間の休息だ。
「…………」
スッと、カウンター越しから、マスターが一枚のカードを滑らせてきた。
依頼か。
まったく。
ヒト使いの荒いことだ。
カラン。
返事代わりに氷を鳴らし、フェドラハットを被り直す。
暗い道に、カツンカツンと靴音だけが響いている。
(!)
いつの間にか、目の前に男が立っていた。油断した。
(こいつ……)
男は、黒いパーカーのフードを深く被り、そこからこぼれている長い髪で表情と男の端正な顔立ちを隠している。
(さっさと仕事に向かいたいのだが)
話くらいは聞いてやるかと、口を開きかけた瞬間、男は鼻がつきそうなほど顔を寄せてきた。ここまで近づいて、ようやく目が合う。
(うっとうしい)
押しのけようと手を動かした――
にやり。
挑発的に笑った男は、俺の手を触れさせることなく走り去った。
まるで消えるように。
* * * * * * * * * * * * * * *
Incontrare(イタリア語):出会う、出くわす、遭遇する、など。
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