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「そうそう、ボイドさんに売ったあの什器なんですけど、まだ喫茶店で使われていると聞きましたが本当ですか?」

「ああ、あれ?店に置いてある成型肉の装置って元々フロートさんのトコにあったやつなんだ。」

「ええ、ボイドさんにお譲りしたときにはもう修理も不可能なくらい古かった機械ですからね。

 滅多に使われないとはいえ、現役なことに驚いているくらいです。」

「滅多にって、俺の夕食とか賄いで使ってますよ。」

「それでも焼き肉店の頃よりは酷使されていないようですので、収まるべき所に収まったということなのでしょう。」


「そんなもんなのかな……っと、発注終わったよ。一月半空けていたとはいえ普段の倍の注文だったから大変だよ。」

「ええ。卸先の方々もこの生鮮肉を食することでボイドさんを弔おうと思ったのでしょう。普段の注文より良い肉を注文されるケースが多々見られました。」


「そんなもんなのかな。それじゃ今度はいつもの日に連絡します。」

「ええ、わかりました。」




 喫茶店兼自宅に戻り、遅めの昼食を作るためキッチンに向かう。


「今日はフロートさんのとこで父さんが肉の卸商売を始めたときの話を聞いたよ。ウチにある機械にはあんな歴史があったんだね。」

 と、写真立てに映る父さんへ報告した。

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