【腐れ縁】カクヨム短歌賞【ナツガタリ'25】

腐れ縁

「よく吸うね」呟くぼくの膝の上「そんなもんさ」と伸びをするきみ

気怠さを抱えたままの午後三時食パンだけが焦げていく音

だらだらとソファに寝転ぶきみとぼくスマホにうつる昨日の続き

空き缶を灰皿にしてきみは言う「こういう感じ、嫌いじゃないよ」

灰皿を 空っぽにして ちゃんと寝る

そう言うきみの 口元灯る

「好きだよ」と壁に向かって言っている「聞こえてるよ」と返してみたい

月曜が来たけど二人ベッドから抜け出す理由どこにもなくて

ゲームして飽きたら寝るの繰り返し「死んじゃったね」と笑うきみの背

「飽きないの?」そう訊かれてもそばにいる誰の地図にものらない場所で

「煙草買う？」尋ねるぼくに 「まだある」と返したきみはまだうわの空